松の湯温泉 松渓館(宿泊)

吾妻川沿いには良質の温泉があちこちに湧出している。松の湯温泉「松渓館」もその仲間の一つであり、素晴らしい自然湧出泉がたっぷりと湧き出ている。以前からこの周辺を通るたびに気にはなっていたが、現在は日帰り入湯不可なので今回は宿泊する事にした。

R145から脇道をしばし進んだ所にお宿があった。日が暮れてからの到着で周辺は真っ暗闇の世界、静かな環境は静養するには最適。遅くに到着したのですが親切に対応して頂いた。宿泊客は自分達以外はおらず、お風呂を独占しまくり。夜は22時までお風呂を利用可能となっています。

浴室は一箇所のみで男女の区別はありません。宿泊客が複数いたら部屋ごとの交替制になるのかなあ。宿に着くなりお風呂へ直行する。脱衣所の扉を開けると同時にタマゴ臭が鼻をツンツンと攻撃してくる。うーん、いい香り。浴室は4.5帖ほどの広さに加熱浴槽&非加熱源泉浴槽に仕切られたタイル張り浴槽があります。加熱浴槽はなんとか2人が浸かれる広さです。壁より蛇口が二つあり一つは約47-48℃に加熱された源泉が、もう片方は非加熱源泉がでてきます。こちらは溜め湯状態になっていて、入湯する時には自由に加熱もしくは非加熱の源泉を好きなだけ投入する事も可能。無色透明、弱タマゴ臭。

なんといってもココのお宿の醍醐味は非加熱源泉浴槽に限ります。こちらは常時にわたり、浴槽縁から凄い量のオーバーフロー湯がドバドバと溢れています。源泉は浴槽底からの浴槽内への直接に注入、およそ40-50L/minは利用していると思われます。2-3人でちょうど良い大きさの浴槽にこんなに大量の源泉使用量は充分すぎるもの。湯は無色透明、白っぽい湯華&綿状のものが舞っています。無色透明、タマゴ臭に弱苦味にエグ味。弱タマゴ臭にとろみ感もあります。また細かいアワも結構な量が浮遊しており、そのアワのせいでパッと見た感じはわずかに白く濁ってもみえました。宿に到着後、一時間半も湯浴みしてしまう。翌朝は7時から浴室が利用できるのでまたまた一時間ちょいの湯浴み。チェックアウトまで大量ドンドコ掛流しのタマゴ臭、とろとろ石膏泉を堪能する。

例によって温泉について女将さんに根掘り葉掘り聞いてみた。松の湯の源泉はお宿の裏手にある崖の裂け目から自然湧出している、その湯量100L/min。以前は露天風呂のみしかなかった。源泉の噴き出している場所の周辺の岩を掘ったり削ったりして露天風呂を作ったらしい。そのうちに、内湯でも造ろうか、と言う話になり内湯を設けた。しかし露天風呂の管理が大変で現在では利用していない。今もその露天風呂自体はあるのだがシートを掛けておりしかも周辺の岩や石などが崩れてしまっているとの事で利用できない。現在の宿建物は2階建てだが、以前は3階建てだった。その3階から通路にて露天風呂へ行けたそうだ。今では昔の露天風呂は源泉溜めみたいな存在になっている。内湯だけでは全ての量を使い切れないらしく、相当な量の源泉が利用されずに捨てられている。宿の前の道路から見てみると捨て湯を確認する事ができ、捨て湯の通り道は硫黄成分で白くなっていた。
(三昧・2005年5月宿泊)


周囲を爽やかな木々に囲まれた長閑な長閑な温泉宿です。以前から「是非一度訪問してみたい」と憧れていたのですが、今回ようやく念願叶い、素泊りで利用しました。松の湯温泉「松渓館」は旅館というよりは、こじんまりとした民宿といった佇まい。到着するなり辺を漂うタマゴ臭に思わず頬もゆるみます。

浴室は玄関を出た横にあり、宿泊客は14時~22時、7~10時の間利用できます。お湯の張られた浴室はひとつのみですが、訪問日は他に宿泊客がなかったので思う存分満喫する事ができました。脱衣所を開けると四角いタイル浴槽がひとつ。1-2人用の長方形浴槽と2-3人用のL字浴槽が合体し、ひとつの浴槽を構成しているというか、、文章では表現が難しいので、画像で確認ください(^^;)長方形浴槽には加熱湯、L字型の方が非加熱源泉となっています。

なんといっても圧巻なのが非加熱浴槽です。浴槽底の穴から人肌程度の「ぬる湯」がドコドコと注入されるのですが、その量が半端ではなく、常に浴槽からはザアザアと滝のような掛け流し。人が入ろうものなら「ドバーン!」と溢れ出し、まるで鉄砲水のよう。無色透明の湯には大量の細かな気泡が漂い、ジッと浸かっていると体じゅうに泡が付着。泡が皮膚をなぞるように沸き上がりくすぐったい程です。フワッとした綿のような白湯花も漂うトロミのある湯は意外にもキシキシとした硬質感のあるもので、最初はタマゴ臭に包まれ、やがて石膏臭プンプン。口に含むとタマゴ風味+鉱物っぽさが口に残る、ちょっと嫌~なエグミのある湯。思わず泣き顔になってしまう不味さも。最初は冷たく感じるのですが、やがてポカポカ、クセになる湯です。

洗い場スペースは、ひとり座れる程度の狭いもので、シャンプー、リンス、ボディーソープが置かれていました。シャワーを使うと、湯と一緒に硫化水素臭が漂い、思わず笑ってしまいました。

宿泊した部屋は角部屋で10畳程の広さ。テレビ(無料)、お茶セット、浴衣、タオル、コタツが置かれていました。部屋の外は新緑に包まれ、すぐ横を流れる清流の音が心地よい。旅館である事を忘れてしまいそうなリラックス感があります。また、洗面所には使い捨ての歯ブラシセット、紙コップ、ドライヤーが置かれ、トイレも綺麗に保たれていました。女将さんの心遣いが感じられます。

現在4代目という松の湯温泉「松渓館」。御主人は会社勤めという事もあり、女将さんひとりで切り盛りしています。いろいろな諸事情も重なり今は宿泊のみ受付け。日帰りのお断りをすると、中には怒り出す人もいるらしく大変そう。挙げ句の果てに「こっそり内緒で入浴できる」などという馬鹿げた情報が不心得者の間に流れたらしく、施錠されていない隙を狙って無断入浴された事も度々あったとか。無断入浴されている間は、恐くて、恐くて、浴室に近づく事もできない、ただ去るのを待つしかなかったとの事で、本当に気の毒なハナシです(現在は施錠を徹底している)。

松の湯温泉の湯源というのが20数年前に露天風呂として使用していたものだそうで、そこからドコドコと湯が噴き出し、浴室への配湯以外にも溢れ出た湯が崖を幾筋もの滝のように流れ落ちています。現在その湯源は蓋で守られ、周囲の崩れなどで一般人は近付けない状況らしいですが、いつか掘り起こし、直湧きの露天風呂を復活させたい、というのが夢のようです。

今回初めて訪問した松の湯温泉「松渓館」ですが、お湯、環境、そして女将さんの人柄が素敵で、とても気に入りました。是非また宿泊したいです。
(まぐぞー・2005年5月宿泊)

▼松の湯温泉 松渓館 外観

▼宿泊した部屋

▼松渓館浴室(手前の仕切り内が加熱・L字部分が非加熱)

▼非加熱源泉浴槽(浴槽底の穴から湯がドコドコ)

▼加熱浴槽の蛇口(左が加熱・右が非加熱)

▼凄い溢れ出し

▼浸かった様子

▼崖を流れ落ちる源泉

松の湯温泉 松渓館 データ

群馬県吾妻郡吾妻町大字松谷937-3
0279-67-3210
宿泊しました:素泊り4000円利用
日帰り不可
訪問:2005年5月宿泊

松の湯温泉 松渓館 温泉分析

松の湯 カルシウム-硫酸塩泉 32.4℃ pH=7.3 100L/min(自然湧出)溶存物質計=1890mg Na=68.9mg K=2.5 Mg=0.7 Ca=480.0(88.46mv%) F=0.5 Cl=41.4 SO4=1260(94.88) HCO3=12.2 HS=0.6 CO2=7.5 H2S=0.4 H2SiO3=26.8 HBO2=2.1 (H13.3.21)