下風呂温泉 北明館は休業中です
北明館は、下風呂温泉・湯巡り手形の協賛施設に加盟していない旅館のせいか、あまり情報がないので、どんなものかと宿泊してみました。当日は他に宿泊者がいなかったのでお風呂はいつでも貸切状態でした。生まれも育ちも下風呂の女将さん曰く、若い時分は観光バスもやってくるほどの規模で営業していたみたいだ。年をとってからは現在のように細々とお宿を切り盛りしているそう。
浴室は男女別にあるが、当日は片方にしか湯を張っていなかった。受付から階下にある浴室で暗めの照明で雰囲気は良い。スノコが敷かれた浴室にポリバス浴槽が一つポツンとある。二人も浸かればちょうど良い広さのものだ。薄く白っぽい半濁湯の湯がなみなみと満たされている。塩ビホースより42℃ほどの源泉が不定期の間欠泉状態で注がれている。弱甘に弱苦塩味、焦げタマゴ味がする湯。ポリバスの中には熱湯が流れる鉄管が潜らせてあり、浴槽内を適温に保つ仕組みになっている。同一源泉を利用しているお宿が数軒ありますが、どこも余裕のある配湯量を受けてはいないらしい。それよりか、湧出量自体があまりないのが実情のようだ。北明館では加水していないせいか、浴感は充分なものだ。大量投入のドンドコ掛け流しとはいかないが充分に楽しむ事ができた。
また、北明館の食事が凄いのである。とにかく海の食材を多用した料理で、海の幸三昧といった感じである。アワビや大間マグロ、ウニやら貝など盛りだくさん。お好きな方にはたまらない食事であります。当然、下風呂の烏賊刺身も頂けて大満足であった。
(三昧・2005年12月宿泊)
下風呂温泉街のメイン通りに面したお宿。好立地にありながら、近隣に中規模旅館や有名旅館が連なるためか、かなり控え目な佇まい。集客も積極的には行っていないとの事。まだ未訪問だった事もあり、せっかくなので宿泊してみる事にしました。年の瀬も押し迫ったこの日、宿泊客は私達だけです。お宿を訪問すると、愛嬌のある女将さんと、優しそうな御主人が出迎えてくださいました。
お宿は玄関から奥に細長く、こじんまりとした造りです。やや古びた館内は生活感漂う民宿といった雰囲気。今回、メイン通りに面した二階、十二畳程の和室を用意してくださいました。部屋には既に布団が敷いてあり、いつでもゴロゴロできます。窓際にはダンボールに入った避難はしごがドンと置かれていたり、テレビの下に漫画雑誌が山積みになっていたりと少々雑多な印象もありましたが、その辺は御愛嬌。部屋には無料のテレビ、浴衣、タオル、歯ブラシセット、お茶セットがあり、暖房の効きもよく快適です。お茶うけとしてリンゴが置かれていたのは「青森だなー」と嬉しくなりました。窓を開けると温泉街のメイン通りが見渡せます。
北明館にはニ室の内湯がありましたが、一方は物置きと化していました。そんなワケで一方を貸しきり利用です。洗い場に埋め込まれるようにして2人サイズのポリバスがひとつ。そこに薄白濁湯が満たされています。塩ビ管より不定期に、やや「ぬるめ」の無色透明の源泉が流し込まれ、浴槽内で熱交換にて適温に。「水を一滴も加えずの掛け流し利用」というのが、こだわりのようです。浴槽に身を沈めるとザバーッと湯が溢れ、なんとも勿体無い気分。底にはモコモコと柔らかな硫黄湯花が沈殿しています。浴室内は焦げ硫黄臭がムンムンと立ちこめ、湯面に近づくと金気臭もプンプン。源泉を飲むと、しっかりとした塩気とエグミタマゴ味があり、ほんのり甘味も感じます。タマゴ臭が印象的なギシギシ浴感の湯。照明の傘に洗面器が利用されていたり、子供のオモチャがあったりと、どこかホノボノ。備品はシャンプーとボディソープがありましたが、私達の為に急遽用意してくださった感じがしました。
お楽しみの夕食は別室に用意してくださいました。これがまた、凄いのなんのって。ひとり1パイづつの毛ガニ、大量のイクラ、ウニ、一口では食べられない大間マグロの刺身が数枚(下北でも大間のマグロはなかなか手に入らないらしいけれど、知り合いのつてで家では入手できる!と仰っていた、ご自慢の一品)、普通なら半分にスライスされるホタテの刺身がそのままゴロリ、アワビに、タラ汁、その他魚介類、ひとり一本中瓶ビールも付きます。これまで数軒、魚介類を食べさせるお宿に宿泊しましたが、これ程の量を出されたのは初めてでした。最初は喜んで食べていたものの、あまりの量に終いには苦悶の表情でウニやイクラを飲み込む事に・・。原因は魚介類以外の食べ物が、ゴハンの他に、タラ汁に入っていたネギと、刺身に付いて来た数枚の大葉しかない事!後は全て魚介類!魚介類一本勝負とでも言いましょうか、途中から大食い選手権にでも出ている気分になってしまった。
食後は満腹で動けなくなり、どこへも行かず部屋でゴロゴロ。まだ夜の8時頃だというのに、表通りは誰一人歩いていません。真っ白に凍てついた夜空に甲高く火の用心の拍子木だけが響くばかりです。ところで、この表通りに面した部屋、静かで良いのですが難点がひとつ。部屋の電気を消すと、表通りを照らすオレンジの街灯がガンガンに射込み眩しいのです。まぁ、気が付いたら寝ていましたが。
翌朝、朝食前に雪で真っ白になった港を散歩し、体が冷えたところで大湯でひと風呂。お宿へ戻ると、普段は習字教室に利用しているという海峡に面した眺めの良い大部屋に朝食が用意されていました。食材はすべて無農薬との事で、下風呂名物のイカ刺は勿論、粒が大きくふっくらした納豆、黄味のしっかりしたタマゴ、歯ごたえのあるワカメの味噌汁(味噌も自家製)等、すべて美味しくいただけました。焼いたスルメイカはビニール袋に入れていただき、この後の青森旅行で酒の肴にチビチビといただきました。
北明館は兎に角、料理が食べ応えあります。魚介類がたらふく食べたいという方には強力におすすめします。それと女将さんが相当なマシンガントークである事を付け加えておきます。私が知る限り、今現在マシンガントーク日本チャンピオンは北明館の女将さんですね。まぁ、そのおかげで、共同湯がまだ男女の大らかな出会いの場であった当時のハナシなども楽しく聞く事ができましたが。帰り際、お土産として沢山の昆布を持たせてくれました。
(まぐぞー・2005年12月宿泊)
▼宿泊した部屋
▼御利益満点の床の間飾り
▼お茶請けはりんご
▼部屋からの眺め
▼浴室
▼浴槽
▼源泉投入口
▼熱交換用の管
▼お湯
▼夕食
▼刺身は分厚く美味しい
▼イクラは丼にしました
▼朝食も豪華
▼下風呂名物のイカ刺しは凄い量
下風呂温泉 北明館は休業中です
下風呂温泉 北明館 簡易データ
青森県下北郡風間浦村
立寄りについては不明
宿泊しました:一泊二食8000円利用
訪問:2005年12月(泊)
下風呂温泉 北明館 温泉分析概要
海浜地1号泉 含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型)50.5℃ 溶存物質計=4636.9mg Na=1085mg(66.59mv%) K=160.4 NH4=3.5 Mg=62.4 Ca=265.9(18.72) Al=4.5 Mn=8.3 Fe2=0.7 Li=1.2 F=2.3 Cl=2053.3(81.69) Br=9.9 I=1.2 OH=1.2 SO4=497.8(14.61) HPO4=0.4 HCO3=143.2 H2SiO3=80.2 HBO2=242.0 CO2=209.4 H2S=13.5(H17.6.7)