八ヶ岳連峰にある本沢温泉と言うと標高2150mの高所に位置する日本最高所の野天風呂が有名で名高い。未だ未湯であったので今回は宿泊して登山を楽しみつつ、更に温泉も満喫して来ました。
本沢温泉に到着したのは早々と8時すぎ、今から根石岳へ向かうので荷を軽量化するため小屋番さんに荷物を預かっていただく。身軽に根石岳へ向かい登頂、その後は本沢温泉までひたすら登山道を下る。下山後の小屋着は14時半ころ、受付して一通り説明をいただいた後はお馴染みのグダグダタイム。今回の山小屋宿泊は二食付きでお世話になった。本沢温泉は温泉付き山小屋である。一般旅館のような設備や備品、料理やおもてなしに期待はしてはいけない。
宿泊は本館二階の個室部屋、横に長い部屋は3-4畳ほどのスペースがある小部屋だ。山小屋なので個室というだけで贅沢と言えます。個室以外に相部屋もあり、こちらは1000円ほど安い料金設定だ。その他に多客のシーズン中は新館も稼働させるようで、今回訪れたのはまだ閑散期なので本館のみの営業スタイルであった。本沢温泉はテント場もあり利用料は一人600円、場所は小屋からは3-4分ほどの距離にあり水場はあるが要煮沸とのこと。小屋前には24H、飲料可の水が自由に汲めるのでこちらを利用した方がいいでしょう。テント泊のトイレは小屋の敷地内にある屋外簡易トイレを利用することになります。温泉の利用ですがテント客は入浴のその都度ごとに料金が必要になるシステムなので、はじめから温泉だけの目的で訪れるのなら小屋泊まりが快適で良いのかも知れません。
名物的な野天風呂は「雲上の露天風呂」というネーミング、小屋から5-8分・標高差で30mほどの登山道を進んだ所にあります。ガレ場にある木造り浴槽、脱衣所は無くとてもワイルドな環境の中の野天風呂です。サイズは4人でいっぱい。できたら2-3人までで浸かりたい広さです。薄く白濁り、硫化水素ガス臭、タマゴ臭、えぐ味を感じる湯です。すぐ横で湧出する源泉を集めてきて塩ビ管にて浴槽へ直注入、当たり前ながら全量オーバーフローされてすぐ下の沢へ流れ込んでいました。訪問は体感42.5℃と熱くなく温くない適温での湯浴みができました。小屋への到着から出発まで4回ほど浸かりましたがそのうち3回が貸切にて入浴でき、ゆったりと温泉と周辺のワイルドな雰囲気をたっぷりと楽しむことができました。今回はタイミング良く閑散期にこれてよかったなぁー。是非、この時期の訪問をおすすめします。
館内には内湯浴室「こけももの湯」もあります。しかも雲上の野天風呂とは異なる別源泉を利用しています。木造の独立した湯小屋で帳場からは洗面所とトイレを横目に過ぎ階段で階下へ進みきった箇所にありました。二方向にガラス窓があり日が差し込み明るい造りです。24H入浴可能で昼間は問題ないが暗くなってからの入浴はヘッドライトが必要です。浴槽はコンクリ?造り、横並びで3-4人サイズの内湯です。保温用の木フタがしてあるので入浴の際にはフタを取ってから浸かります。薄くオレンジ色、薄濁り、新鮮金気臭味に芒硝薬臭を感じます。体感43.5℃とちょい熱めなので長々入浴はキツイでしょう。浴槽フチやらオーバーフロー口、排水溝への流れこみ箇所にはコテコテの温泉析出物が層を形成していました。源泉は冬期使用の「しゃくなげの湯」横から塩ビ管にてココまで引いて利用しています。ちなみに内湯入浴後に野天風呂へ浸かると化学反応でお約束の手足が黒っぽくなります。入浴終了後は保温フタを必ずしてから退出しましょう。また訪れてみたい温泉です。
(三昧・2017年5月宿泊)
八ヶ岳の樹林帯に佇む山小屋です。ここのウリはなんといっても野趣溢れる露天風呂と、鄙びた風情満点の内湯それぞれに別源泉を使用した温泉宿でもあるということです。山小屋といえば水の確保もままならない場所もあるなか、この本沢温泉は水も豊富、そして掛け流しの温泉にまで浸かれてしまう日本でも数少ない山小屋です。
本沢温泉には歩いて行くしかないのですが、そのルートは多数あり、赤岳~横岳~硫黄岳の南八ヶ岳核心部を通るルートや、天狗岳~根石岳~夏沢峠の眺望を楽しめるルートなどなど。私達は緑豊かな苔と水の森を「しらびそ小屋」経由でノンビリ歩きました。温泉だけ目当てなら「本沢入口」から直で入るルートが一番早いと思います。
訪問したのは5月の中旬。人気があり普段の週末は混雑気味と思われる本沢温泉も、GW明けから開山式までのこの時期なら空いているだろうと出かけてみました。予想的中で山小屋泊は人が少なく(我家を含めて10人ほど)、スタッフもオジサンとお兄さんの二人きり、おかげで風呂は内湯・露天共にいつでも貸し切り状態、テント場も二張りしかなく本当にノンビリ静かに過ごせました。
本沢温泉には綺麗な新館と、昔ながらの本館の二棟あり、訪問時はまだ本館しか稼働していませんでした。本館には大部屋と個室の二種類あり、予約の時に選ぶ事ができました。今回は個室にしたのですが、行ってみると大部屋には二組しかいなく「こっちでもよかったかなぁ」なんて思ったりもしました。案内された部屋は二階の窓際二号室(個室)で、簡素を絵に描いたようないかにも山小屋といった感じです。ギリギリ布団を二組敷ける程度のこぢんまりとした部屋ですが、外にベランダがついて眺め良く明るい部屋です。
食事は朝夕共に新館の食堂でみんなでいただきます。夕食は17:30から、朝食は6時30分からで、山小屋としては少しノンビリしたスタートです。食事は山小屋なので手のかからない袋物の総菜を出したものが目立ちますが、ごはんはおかわり自由で美味しくいただきました。汁物(?)としては夕食時におでん、朝食時に味噌汁が大きな土鍋で温められて出て来ます。それを人数分の椀によそっていただきます。
お楽しみの温泉は内湯と露天風呂があり、それぞれまったく異なる源泉を利用しています。先ずは内湯ですが、敷地内に完全独立湯小屋の「積雪期用(石楠花の湯)」と新館の「無雪期用(苔桃の湯)」の二棟あり、季節によって使い分けています。この積雪による使い分けは引き湯ができるか否かだそうです。
ちなみに積雪期用は源泉のすぐ隣にあり男女交代で利用しますが、電気が無いので夜間の利用は不可とのこと(ヘッデン利用ならOKなのかな?)。無雪期用は引き湯利用で(といっても距離は短いですが)、こちらは男女別浴となり消灯時間(20時まで)は電気が点き、それ以降もヘッデンなどを使えば夜間も好きな時に入る事ができます。訪問時はちょうど積雪期用から無積雪用に切り替わる時期で、予約時は「まだどちらになるかわからない」との事でしたが、行ってみると無積雪用になっていました。
内湯(苔桃の湯)は、新館の長い階段を下った先にあります。木材をふんだんに使った造りで秘湯感満載です。窓が大きくとられ昼間は外光がよく射し込む雰囲気のいい浴室に、4人サイズ浴槽がひとつありました。浴槽には湯温を保つためちょっと重い木板の蓋がされています。蓋を開けて見るとびっくり、くすんだオレンジ色の湯がたっぷりと満たされ、湯面はビッシリと白いロウ状の湯膜に覆われています。この光景には温泉好きなら誰もが興奮すると思います。薄氷を割るように湯膜の中にそっと浸かると、何故か隣の男湯でザバーッと湯の溢れる音がします。どうやら男女の浴槽は中で繋がっていて男性側に湯が溢れ出る構造となっているようです。また、湯口も男性側にあります。
肝心の湯は結構な熱めで、鮮度の高い金気で香る生臭いような温泉臭と芒硝味があり、キシキシとした肌触りがします。浴槽底にはカサカサとした湯膜の沈殿物がたっぷり積もっています。なにしろ浸かる人がほとんどなく、いつ来ても貸し切り状態だった事もあり湯の状態は良好、この湯はとても気に入りました。浴槽周りに築かれた見事な析出物も一見の価値ありです。ただしシャワーなどは一切ないので、そのつもりで訪問されてください。
お次は本沢温泉の名物となっている露天風呂です。宿から徒歩10分くらいの場所に位置していますが、石のゴロゴロする樹林帯→滑りやすい砂礫の登山道と続くので登山靴の使用をおすすめします。目指す露天風呂は沢沿いの荒涼としたガレ場の中にポツンとありました。4人サイズのこぢんまりとした浴槽には内湯と同様に木板の蓋がされていたので、それを外し脱衣スペースとして利用しました。
肝心の湯は白い粒子状の湯花が大量に漂う薄白濁で、湯面からは明礬タマゴ臭ぷんぷんです。湯温は気温などで変動があるようですが訪問時はぬる過ぎず熱すぎずの絶妙湯温で、しばらく利用者も少なかったのか鮮度も良好、ガレ場の向こうにそびえる硫黄岳をながめながら、ゆったりと時間を気にせず楽しむ事ができました。
訪問前は混雑しているイメージしかなく敬遠していた本沢温泉ですが、時期を選べば土日でも気兼ねなくたっぷりと温泉を楽しめる事もわかったので、次はテント装備で訪問してみたいと思います。
(まぐぞー・2017年5月宿泊)
▼本沢温泉 外観
▼受付兼売店
▼商品は豊富です
▼充電は1時間100円
▼館内見取り図
▼掲示
▼本沢温泉 大部屋
▼本沢温泉 宿泊した部屋
▼布団を敷いた様子
▼ベランダもあります
▼ベランダからの眺め
▼談話室
▼山関連の本がいろいろ揃っています
▼乾燥室兼自炊室
▼トイレと洗面所は新館を利用します
▼洗面所の水は飲む事ができます
▼生ビールは800円でした
▼夕食(ビールは別注)
▼朝食
▼本沢温泉名物野天風呂
▼別の角度から
▼浴槽
▼浴槽からの眺め
▼たっぷり独占で楽しませていただきました
▼本沢温泉 内湯「無雪期用・苔桃の湯」への階段
▼男性脱衣所
▼掲示
▼本沢温泉「無雪期用・苔桃の湯」男性浴室(蓋がされています)
▼男性浴室
▼湯口
▼析出物が見事
▼送湯管
▼女性脱衣所
▼子授け絵馬
▼女性浴槽(蓋を外すと白いロウ状湯膜に覆われています)
▼わかりやすいように湯膜を少し崩してみました
▼本沢温泉「積雪期用湯小屋・石楠花の湯」外観
▼浴槽はお湯が抜かれていました
▼これが源泉井と思われます
山地図アプリと紙地図
山の温泉に行くのに必要な登山マップは「YAMAP」や「ヤマレコ」で無料ダウンロードできます。無料でひと月にダウンロードできる地図数は限られますが、頻繁に行かなければ十分だと思います。地図アプリの他に、もしスマホが使えなくなった時のために紙の地図も携帯されると安心です。
本沢温泉 データ
長野県南佐久郡南牧村海尻 国定公園内
090-3140-7312(電話は20時まで)
宿泊しました:本館個室一泊二食9700円
立ち寄り時間要問合せ
野天風呂600円
苔桃の湯800円
石楠花風呂700円
※繁忙期は内湯の立ち寄り不可の場合あり
訪問:20217年5月(泊)
本沢温泉 温泉分析
本沢温泉 野天風呂 酸性-含硫黄-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉(硫化水素型) 40.8℃ pH=? 溶存物質計=1844mg H=0.8mg Na=85.5 K=4.7 NH4=0.4 Mg=70.1(24.05mv%) Ca=247.3(51.42) Sr=0.2 Al=10.3 Mn=1.5 Fe2=0.7 F=0.5 Cl=13.7 HSO4=30.0 SO4=1120(96.96) H2PO4=0.3 H2SiO3=256.8 HBO2=0.7 CO2=460.1 H2S=95.7 (H23.7.14) ※温泉利用状況=全ての項目で該当なし
本沢温泉 内湯 ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉 53.1℃ pH= 溶存物質計=4457mg Na=587.4mg(42.37mv%) K=18.3 NH4=40.9 Mg=134.7 Ca=456.7(37.80) Sr=3.6 Mn=0.5 Fe2=7.2 Cu=0.1 F=0.1 Cl=38.8 SO4=1971(69.04) HPO4=0.2 HCO3=1056(29.12) H2SiO3=177.8 HBO2=3.3 CO2=393.9 H2S=0.1 (H23.7.14) ※温泉利用状況=全ての項目において該当なし