葛温泉 仙人閣

日本秘湯を守る会の会員宿でもある仙人閣。北アルプスの登山玄関口でもあるので客層は登山客が多いのかも知れない。土曜午後2時過ぎの訪問だったが、立ち寄り先客はおらずで、入浴して退館まで独り貸切状態での湯浴みとなった。

内湯浴室はガラス張り、明るくて雰囲気はよい。浴槽は5人サイズの水色タイル造り。視線をひきつけるのは湯口の文福茶釜で、これは面白い。茶釜の先から湯船へ向かって透明な湯を注いでいる。浴槽内に吐き出しによる注入湯があり、おそらく循環湯でしょう。ただし、湯船横の排水口へとオーバーフローされる湯量が多く、また湯汚れも全くと言っていいほど感じず。無色透明、つるすべ感がある。湯中には小さい木くずのような茶系湯華と半透明の湯華が浮遊している。

ガラス扉の向こうには露天風呂がある。混浴ではないが、ごく一部分が男女で繋がっている造り。中央で仕切りがあるが先のほうへ行き過ぎるとお互い見えてしまう仕様だ。7-8人サイズの露天岩風呂で湯面からプーンとした焦げタマゴ臭を空間へと放っている。湯華はごく僅かに白く舞うのが見える程度だ。湯温も適温で約42℃ほどでいい。湯に浸かった際の溢れ出し湯が、排水口へ流れ込むのはちょっとした洪水のようである。結果としてここの露天風呂の湯が一番気に入った次第。

この他にも「滝の湯」という内湯もあり、これは露天巨岩風呂が屋内にあるような感じの造り。岩の切り込み湯口と竹筒湯口のダブルの源泉を投入していた。サッサと浸かっただけなので感想はコメント無しです。更にこれに付随する露天風呂もあった。こちらも無色透明、体感42℃ほどの湯でスベスベする。

山の宿というべき「仙人閣」は、どちらかといえば湯治宿系に部類する静かな感じで気に入った。
(三昧・2017年3月)


訪問日は春の暖かな日でしたが、周囲の山々はまだ雪に覆われていました。葛温泉は10年以上前に湯俣噴泉塔で野湯遊びをした帰りに立ち寄った以来です。その時は秋の登山シーズンでビックリするほどの大混雑だったのですが、今のような残雪期では山に上がる人も少ないのか葛温泉も全体的に空いていました。

今回お邪魔した仙人閣は、やや年季の入った鄙び系の山の宿といった感じで、立ち寄りでも気兼ねなく利用できる雰囲気があります。館内には大小ふたつの浴場があり、夜24時に男女が入れ替わるようです。今回お邪魔した時間帯では小浴場が女性用となっていました。「小」といっても、内湯と露天風呂ともにじゅうぶんな広さがあります。

脱衣所を抜けると先ずは内湯です。窓際に5~6人サイズのタイル浴槽がひとつあり、古くなって原型がわかりずらくなった「ぶんぶく茶釜」の湯口より、やや熱めの無色透明湯が流し込まれています。これとは別に浴槽内の壁からも熱い湯がブォーッと勢いよく投入され、浴槽縁よりサラサラと溢れ出しています。湯使い的には循環、加水、消毒ありのようですが、塩素臭はなく、湯も入れ替えたばかりのようで状態は良く、優しい温泉臭に囲まれながら湯浴みを楽しめました。

続く露天風呂は目の前に川と雪の山を見渡せる10人ほどの開放的な岩風呂です。10人サイズといっても浴槽内には大きく滑らかな岩があり、浴槽の半分以上は岩の上に腰掛ける半身浴状態になります。すぐ隣が男性用の露天風呂なのですが、おそらくは以前は一つの大きな岩風呂で混浴だったのかな?と思えるような造りです。男女の仕切り塀も比較的緩めで、前の方に行くと塀も途絶えます。こちら側には二か所湯口があり、男女の境部分にあるメイン湯口ではタマゴ臭がプンプン香ります。湯使いはかけ流しのようで、湯の中には白い細かな湯花もチラホラと舞っていました。

静かな環境と気兼ねない雰囲気で、ここは気に入りました。他に入浴客もなく終始貸し切り状態だったのも嬉しいです。建物自体は年季が入っていますがシャワーは新しいもので出もよく、下山後の汗流しにもいいと思います。
(まぐぞー・2017年3月)

▼館内

▼北アルプスの動物たち

▼浴場入口

▼男性浴室内湯その1

▼文福茶釜の湯口

▼壁の文福茶釜

▼秘湯シャンプー

▼露天風呂その1

▼湯口

▼内湯その2

▼湯口

▼露天風呂その2

▼露天風呂 浴槽

▼湯口

▼湯口アップ

▼女性脱衣所

▼女性内湯

▼文福茶釜湯口

▼壁の文福茶釜絵

▼女性露天風呂

▼浴槽から

▼湯口は二か所

葛温泉 仙人閣 簡易データ

長野県大町市平2118
0261-22-3211
立ち寄り時間要問合せ
700円
訪問:2017年3月

葛温泉 仙人閣 温泉分析概要

(浴室に入って最初の浴槽)新第2源泉、平成の湯源泉、元湯一号源泉、高瀬源泉との混合泉(集中管理室地下ポンプ室差圧式水位計配管バルブ採水口にて分析) 単純温泉 80.6℃ pH=7.1 溶存物質計=678.4mg Li=0.7mg Na=146.7(83.90mv%) K=8.6 NH4=0.1 Mg=0.3 Ca=17.4 Sr=0.1 Mn=0.1 F=7.3 Cl=161.8(59.94) Br=0.3 HS=0.3 S2O3=0.1 SO4=10.3 HCO3=149.1 H2SiO3=160.6 HBO2=14.4 HAsO2=0.1 CO2=23.1 H2S=0.3 (H27.6.19) ※温泉利用状況=気温の高い期間のみ加水あり、循環ろ過あり、塩素系薬剤の使用あり

仙人2号の湯(源泉ドレイン口にて採水)アルカリ性単純温泉 49.6℃ 153L/min(掘削動力) pH=9.1 溶存物質計=209.6mg Na=48.0mg(80.17mv%) K=0.4 Ca=9.8 Sr=0.1 F=6.6 Cl=41.9(44.41) OH=0.2 HS=0.2 SO4=8.1 HCO3=48.2(29.73) CO3=4.5 H2SiO3=39.6 HBO2=1.8 (H28.11.28) ※温泉利用状況=加水あり、塩素系薬剤の使用あり