白骨温泉の宿に初めて宿泊してみた。白骨に訪れるのは何年ぶりだろう、もう10年以上はご無沙汰だった。チェックインは15時、到着は早めの15分前だったがスムーズにご対応いただいた。宿泊部屋はフロントから階段を上がったり下ったりする複雑な館内を進みに進んだ先の2階にある。事前に無料で利用できる時間指定制の宿泊者限定の貸し切り風呂の予約もしているので自分は部屋でしばし一休み、まぐぞーは間髪入れずに大浴場へ向かっていた。部屋は広縁つきの10畳和室、バストイレ付だが我が家にはバスは不要。一般的な温泉観光ホテルなので備品設備類は一通り揃っていて用は足りる。
食事は他のお客さんと一緒に大宴会場にセッティングされた部屋ごとのテーブルにていただく。夕食は18時で朝食は8時より同じ席との事である。内容は少量を多種類出してくる料理で美味しく頂けたが、晩酌しない方や早食いの方には間が空いてしまいそうだ。
16時から45分間、予約していた貸切風呂へ向かう。風呂は別棟にあり独立した湯小屋になっている。小屋内には露天風呂付「こなし」と、内湯のみで露天風呂無し「すもも」の二種類の貸切風呂があるが我が家が予約利用したのは露天付きの「こなし」。とても通気がよい内湯空間、2人も浸かればいっぱいの腰掛ゾーン付き石造り浴槽があります。完全な無色透明、硫化水素臭が漂います。露天風呂もありました。こちらは浴槽底のスノコ下部分よりの足元湧出泉に加え、十分でない湯量を補うためか新源泉を塩ビ管に投入して湯船内でブレンドいます。塩ビ湯口46.6℃、浴槽42.7℃の実測でした。緑グレーががかった薄濁り湯がしっかりと湯船フチの切り込みよりオーバーフローが確認できました。完全な単独の足元湧出ではないですが、こちらに泊まりの際にはせっかくなので利用することをお勧めします。
家族風呂から上がると部屋にて水分補給しつつ、夕食前に大浴場の内湯にも浸かってみました。きちんと整理清掃されている脱衣所、掃除のおばちゃんが担当されているようでした。ガラス張り内湯は夕暮れ時の西日が差し込み雰囲気よし。冬場で湯気がこもっていますが、なんとか撮影終了。15人サイズの浴槽は、本来は木造のようですが温泉成分が層のように浴槽フチをはじめ浴室底部にたっぷりと堆積しています。青みがかったような薄い白色濁り湯が十分量掛け流されていました。湯口48.3℃、浴槽では41.3℃と夕方の入浴時には調整されていた。
続いて露天風呂です。内湯浴室から露天へと通じる通路がありそこを進んで行きます。冬季は寒さ対策で内湯で十分に暖まってから行くか、もしくは身体を濡らさないで露天へ向かうのがお勧めだそうだ。12月訪問時は深夜0時半で△2.5℃、翌朝6時半で△5℃ほどでした。露天風呂は池の形のような10数人サイズ、屋根なしで開放感がある造りです。2か所の竹筒を湯口にして実測48℃前後の湯をたっぷりと池?に落とし込んでいます。チェックイン後の偵察では見た目には薄い緑色の透明に近い湯でしたが、夜間から朝方では緑色に薄く濁りを生じた湯に変化となりました。深夜と寝起き時の湯浴みはココで何も考えずに静かに湯に浸かり、温泉湯浴みを満喫しておりました。朝方、浴槽周りが低温による完全凍結部分がありつるんつるんとスケートリンク化していました。
(三昧・2015年12月宿泊)
白骨温泉での宿泊でお世話になった大型観光旅館です。万人が安心して利用できる設備の整った館内やスタッフの対応など、日本の観光旅館の定番といったところです。普段はこういう系を選ばないのですが、独自源泉を所有している事と、冬なのでぬる湯ではなく適温湯を掛け流している点でこちらに決めました。
訪問すると先ずはロビーにてお茶と源泉おやき(白骨温泉名物の温泉粥を使用したもの)をいただきます。その後通された部屋は清掃の行き届いた十畳の和室で、備品も揃い洗面台やユニットバスもある造りです。必要なものは部屋に揃っているので不自由はありません。部屋からの眺めは玄関付近が見えるだけで、特にコレといったものはありません。
食事は朝夕ともに他のお客さんと一緒に椅子とテーブルの置かれた畳敷きの広間でいただきました。料理は品数多く見栄え良くといった旅館料理で、どれも美味しくいただけました。定番の旅館料理の合間に焼きたてのリンゴグラタンや温泉粥のコロッケなども出されオリジナル感も楽しめました。朝食には白骨温泉名物の温泉粥が出されます。この食事中に驚いたのは12月中旬というクリスマスに近い時期もあってか、周囲を若いカップルの皆さんで埋め尽くされていた事。おそらく私達のような年配層はもっと上の宿泊ランクを予約して、別室で食事をいただいているのかもしれませんが。
お楽しみの温泉は男女別に内湯+露天風呂の大浴場と、事前予約制の家族湯があります。宿泊予約そのものはかなり早くしたのですが、その際に家族湯の予約はせず、訪問1ヵ月を切ったところで「そういえば家族湯の予約ってどうするのかな?」と何気なくお宿に問い合わせたところ「宿泊日の家族湯は、あとひと枠だけ空いています」との返事。しかも二つある家族湯のうち、お目当てにしていた浴槽直下湧出の独自源泉使用の方だけが空いていました。ラッキーとはいえ、かなり危なかったです。
先ずは到着直後に男女別大浴場へ向かいます。ゴミひとつない清掃が行き届いた畳敷きの広々脱衣所はアメニティが揃い、いかにも旅館の大浴場そのものといった造りです。脱衣所をぬけると内湯ですが、広い空間に15~6人サイズの長方形浴槽がひとつあり、見事に白濁したやや熱め寄り適温湯が掛け流されています。浴槽は長年蓄積された析出物により、ちょっとした芸術作品のようになっていました。明礬タマゴ臭香る湯は、なにより見た目が美しく、いつまでも浴室にとどまって湯を眺めていたい、そんな空間です。
続く露天風呂は内湯から裸移動もできますが、極寒の中では凍えてしまう距離を移動するので、浴衣のまま行かれる事をおすすめします。ただ、脱衣所や浴槽の手すり、浴槽の周囲に凍結している箇所があるので注意が必要です。露天風呂は木立に囲まれた石造りの6人サイズで、竹筒湯口と石灯篭の下の湯口から源泉投入されています。竹筒湯口の下には温泉成分による球体(岩手県の国見温泉石塚旅館と似たような)ができ、浴槽縁にも「析出物の羽」が育ち、白骨温泉のパワーを感じます。露天風呂は投入量も多く常時やや熱め、さすがにこの極寒の中で入る人も少ないのか、内湯よりも鮮度は上でした。夜に入ると木立の向こうにキラキラと星空が見え綺麗です。
お次は、ギリギリセーフで予約できた家族湯です。家族湯は「こなし(内湯+露天風呂)」と「すもも(内湯のみ)」があり、お目当ての旧源泉が使用されているのが「こなし」の露天風呂です。家族湯は独立した別棟に用意されていました。ちなみに家族湯は石鹸シャンプーの使用が禁止されています。脱衣所を抜けると内湯ですが、ぬくもりある木造浴室に2人サイズの四角い浴槽がひとつあり、湯口より無色透明湯が滔々と流し込まれています。浴槽湯は劣化する前のとても綺麗に澄んだ無色透明を保ち、大浴場では目立たなかった炭酸感を感じます。明礬タマゴ臭の香る湯は口に含むと明礬酸味とエグミのするもので、当然ながら鮮度良好。白骨温泉でこれほど鮮度のいい状態で浸かれるのは貴重じゃないでしょうか。
続く露天風呂が新宅旅館の真骨頂と思います。1人サイズの小さな浴槽は旧源泉の湧出上に造られ、底のすのこの間からジワジワと湧き上がってくるのがわかります。これとは別に内湯と同じ湯も管からも投入しているので、新旧二源泉の混合という事になります。うっすら灰白濁しても見える湯は包むこむような優しさがあり、すぐ隣の内湯と入り比べてみればその違いを肌でひしひしと感じる事ができると思います。お宿はもっと強くこの旧源泉の存在をアピールすればいいのにと思いました。
今回初めて冬の白骨温泉を訪問しましたが、道路上には凍結もあるし観光客は少ないと思っていたのですが、なかなかの賑わいで四季を問わず人気の所なんだなと再認識しました。
(まぐぞー・2015年12月宿泊)
▼外観
▼ロビー
▼到着時ロビーで出される源泉おやき
▼売店にはカップラーメン
▼部屋
▼お茶請けのきんつば
▼部屋の設備・冷蔵庫・コーヒーメーカーなど
▼部屋のユニットバス
▼洗面台
▼夜食が用意されていました
▼夕食(の一部)
▼朝食
▼貸し切り風呂湯小屋
▼こなし内湯
▼湯口
▼浴槽の中まで析出物に覆われています
▼こなし露天風呂
▼男性大浴場脱衣所
▼男性内湯浴室
▼別の角度から
▼内湯湯口
▼浴槽の見事な析出物
▼露天風呂への通路
▼男性露天風呂
▼湯口
▼女性大浴場脱衣所
▼女性内湯
▼いい湯だな
▼湯口
▼溢れ出し
▼析出物が見事
▼女性露天風呂脱衣所
▼女性露天風呂
▼露天風呂湯口(下には析出物の球体が)
▼駐車場の飲泉所
白骨温泉 新宅旅館 データ
長野県松本市安曇白骨温泉
0263-93-2201
宿泊しました:一泊二食16000円利用
12時~14時(受付13時20分)
日帰り休止の日も多いので要問合せ
800円
訪問:2015年12月(泊)
白骨温泉 新宅旅館 温泉分析
(男女別大浴場)新宅新源泉1号 含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉(硫化水素型) 48.9℃ pH=6.5 溶存物質計=1448㎎ Li=0.5mg Na=85.1(20.29mv%) K=24.8 NH4=2.6 Mg=47.6(21.50) Ca=195.4(53.47) Sr=0.4 Ba=1.0 Mn=0.2 F=0.7 Cl=91.7 Br=0.2 I=0.1 HS=5.1 S2O3=0.7 SO4=1.2 HCO3=927.6(84.36) H2SiO3=52.7 HBO2=10.5 CO2=533.6 H2S=18.1 (H26.11.14) ※温泉利用状況=全ての項目で該当なし
(貸切風呂こなし)新宅新源泉1号と新宅旧源泉の混合 カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉 42.6℃ pH=7.0 溶存物質計=1400㎎ Li=0.5mg Na=87.3(20.55mv%) K=27.7 Mg=49.1(21.85) Sr=0.4 Ba=1.0 Mn=0.2 F=0.7 Cl=86.3 Br=0.1 I=0.1 HS=0.8 SO4=2.8 HCO3=897.0(85.19) H2SiO3=40.1 HBO2=8.4 CO2=147.5 H2S=0.9 (H16.8.20) ※温泉利用状況=全ての項目で該当なし