稲子湯温泉

前の立ち寄り時から10数年は経過していると思われるレトロ系な温泉宿。立地からして八ヶ岳連峰登山の帰りに汗流し入浴の利用者が多そうな感じもする。受付して浴室へ向かう。

久しぶりの脱衣所と浴室、服を脱いでいると先客が浴室から脱衣所へ上がってきた。登山帰りのお客さんで軽く挨拶して浴室へ入る。浴槽は長方形の石造りで横並び4人サイズ。浴槽湯は薄く黄土色、金気臭味あり。湯使いは常時にわたり加温の為の循環がある。加温湯口で52.5℃、浴槽にて41.4℃の実測。湯船横に8.9℃の源泉溜めがあり手動バルブの操作で冷たい冷鉱泉を自由投入が可能。入れすぎると温くなるので適量投入したら必ず止めるようにと案内掲示もあった。この源泉を口に含むとサイダーのような明瞭炭酸を感じ、タマゴ臭味がある。冷たくなかなか美味しい源泉だった。適温入浴だったので20分ほど浸かったせいか、身体はポカポカで暫くあたたかだった。
(三昧・2018年5月)


周囲を深い森に囲まれた八ヶ岳山中に建つ一軒宿です。木造の鄙びた風情はいかにも山の宿といった雰囲気があります。ここは北八ヶ岳の登山口も近いので、秘湯の宿以外にも登山基地としての需要が大きそうです。館内には男女別に内湯がひとつづつあり、立ち寄りも快く受け付けてくれます。

今回ここにお邪魔するのは10数年ぶり。脱衣所を抜け浴室に入ると「そうそう、こんな配置だった」と当時の記憶がよみがえります。当時はもっと壁板が古びた印象があったので、ちょっと改装されているようです。女性側には3~4人サイズの長方形浴槽がひとつあり、やや熱め寄りに加温された源泉が浴槽縁よりサラサラと溢れ出ています。浴後に男性浴室の様子を聞くと溢れ出しはなく循環のようだとの事で、確かに掲示にも循環ありとされているのですが、女湯側は非加熱源泉を入れなくても常時サラサラと浴槽縁からオーバーフローがあり、循環しているような印象もなく、この湯使いの違いについては今だ謎のままです。

肝心のお湯ですが、加熱湯では緑がかった薄茶濁りを帯びた湯で、炭酸感はなく鉄臭が香るギチギチとした硬い浴感の湯でした。浴槽すぐ隣には冷たい非加熱源泉が流れ、湯船に投入される事なく捨てられています。この非加熱源泉はバルブを開くことによって浴槽内に投入する事ができるので試しに少し入れてみたところ、アッという間に細かな気泡に包まれます。非加熱源泉は綺麗に澄んだ無色透明で、コップが置かれていたので飲んでみると明瞭な炭酸感があり、また酸っぱさに加えほんのりタマゴ風味も感じました。今回十数年ぶりの訪問でお湯の記憶がいまひとつ飛んでいたのですが、なかなかの複雑さでマニアが喜びそうな源泉でした。
(まぐぞー・2018年5月)

▼外観

 

▼日帰りできます/館内受付

 

▼鹿のはく製/掲示

 

▼男性浴室

▼浸かった様子/加熱源泉投入口

 

▼非加熱源泉は自由投入

 

▼掲示

▼女性浴室

▼浴槽/加熱源泉投入口

 

▼なかなかの溢れ出しです

▼こちらは非加熱源泉

▼綺麗に澄んだ無色透明湯です

 

長野県南佐久郡小海町大字稲子1343
0267932262
立ち寄り時間要問合せ
600円→650円
訪問:2004年5月・2018年5月

稲子湯源泉(源泉にて採水) 単純二酸化炭素・硫黄冷鉱泉(硫化水素型)8.3℃ 67.1L/min(自然湧出) pH=5.0 溶存物質計=160.1mg Na=4.1mg K=1.3 NH4=0.1 Mg=3.1 Ca=11.5(41.36mv%) Al=0.7 Mn=0.3 Fe2=6.8 Cl=0.7 SO4=2.8 HCO3=76.3(93.77) H2SiO3=52.3 CO2=1493 H2S=3.4 (H21.5.26) ※温泉利用状況=加温あり、加温の為の循環あり

【以前の分析】稲子湯源泉 単純二酸化炭素・硫黄冷鉱泉(硫化水素型) 7.6℃ pH=4.9 44L/min(自然湧出) 溶存物質計=152.9mg Na=4.9mg(15.0mv%) K=1.3 NH4=0.02 Mg=3.3 Ca=13.5(47.86) Sr=0.08 Al=0.8 Mn=0.2 Fe2=3.3 F=0.4 Cl=2.1 HS=0.02 SO4=17.3(26.26) HCO3=56.8(67.83) H2SiO3=48.8 HBO2=0.1 CO2=1094 H2S=3.6