人吉温泉新温泉は2020年7月より休業中です。
人吉にある共同浴場の一つ新温泉。路地裏にひっそりと建ち、その木造の外観はとてもレトロなムードを持つ。入り口を潜るとすぐに番台がありおばあちゃんが番をしている。脱衣所はこれまた激レトロ雰囲気が漂う。藤の籠をはじめ、古い壁掛けの手書き広告看板、年代物のマッサージ機に体重計から身長計、ぶら下がり健康器までもある。脱衣所の床を歩くだけで、床がミシミシと軋みそう。
採光良い浴室はガラス張り、そこは昭和初期のような空間でもある。2×2mの正方形浴槽と、3人ほどの寝湯槽がある。源泉は年季が入った湯口より10L/minほどの注ぎ込み。深めの浴槽で、薄ウーロン茶色透明、黒や茶の湯華の浮遊あり。つるすべ感があり、湯口でタマゴ臭?らしき香りもあります。寝湯槽は35℃の温め、深さは15cmほど。寝そべりながら天井を眺めると、湯気抜きが目に入ります。新温泉は百聞は一見にしかずで、実際に訪れないといけません。
(三昧・2005年12月)
ここは有形文化財に登録されても良さそうな素晴らしい共同浴場です。時の狭間に佇むような木造の湯小屋、扉に付けられた扇形の男女の印、脱衣所に掲げられたペンキ塗りの看板、素朴な番台・・・これ程の琴線揺さぶられる共同浴場は滅多にあるものではありません。
男女別の浴室には4人程入られる素朴なコンクリ浴槽がふたつ。片方は浅い寝湯の「ぬるめ」浴槽。もう一方が普通浴槽となっていました。普通浴槽は湯口よりウーロン茶色の、やや熱めの湯が流し込まれ、浴槽内で適温~ややぬるめ。ツルツルとした浴感が心地よいモールな湯です。一口飲んでみると、何とも言いがたい温泉味。湯口ではガスっぽい臭いも漂います。訪問時は地元の御夫人が二人、地元言葉で何やらおしゃべり。見知らぬ私にも色々話し掛けて来ます。
あー、それにしても、なんと古びた浴場でしょうか。帰り際、外への扉を開けた途端、遠い昔にタイムスリップしてたらどうしよう?などとSFチックな事を考えてしまった。
どうぞ、いつまでも、この浴場が健在でありますように。
(まぐぞー・2005年12月)
▼外観
▼昔ながらの佇まいです
▼入り口の男女のしるしは扇形
▼番台
▼マッサージチェア
▼昭和6年の掘削時の様子
▼新温泉名物の脱衣所の看板
▼男性浴室
▼普通浴
▼湯口
▼寝湯
▼女性脱衣所
人吉温泉新温泉は2020年7月より休業中です。
人吉温泉 新温泉 データ
熊本県人吉市紺屋町80
8時~9時・13時~22時
第1月曜日・1月1日休み
300円
訪問:2005年12月
アルカリ性単純温泉 42℃ 湧出量=約50L/min ※加水なし・11-4月のみ加温あり・入浴剤なし・温泉水への消毒なし