旧丸子町(現在は上田市)界隈は幾度となく訪問しているエリア。しかしながら旭館は立ち寄り不可のお宿。いつか、宿泊の機会を伺ってはいましたがついにその時がおとずれた次第。旭館は老夫婦が切り盛りしている大塩温泉の一軒宿です。国道近くには大塩温泉の共同浴場も二軒ほどあり、こちらは一般立ち寄りは可能です。
15時ちょうどに宿に到着。山の中というより田舎の湯治宿といった印象を受ける。今回は二食付きでお願いしたが、自炊宿泊も可。部屋は3階の8畳和室に通された。既に布団が敷かれており、いつでもごろごろと出来るのでこのスタイルはお気に入りである。客室は網戸越しに入ってくる風が心地よい。エアコン無し、扇風機のみだが外からの風のおかげで特に不便は感じなかった。
浴室は2階にあり、一つのみなので宿泊客ごと、家族ごとで貸切利用となる。「入浴中」の旨の札を掲げておくシステムになっている。曇りガラス張りの浴室、7人サイズの角タイル張り湯船が「源泉浴槽」、隣に「熱湯(あつめのゆ)」と掲示された加熱浴槽もあったがこちらは湯が張られていなかった。飲泉用コップが置かれた岩石湯口より、37.2℃の源泉を約35-40L/min浴槽投入しています。浴槽では36.6℃ほどでまさにぬる湯状態での湯浴みとなります。お湯は無色透明、薬臭にほんのり石膏臭、少しキシキシとした浴感があります。皮膚がほんわかとする感覚もあります。のぼせることが無いので長湯が心地良いです。浴槽縁の切込みより溢れ出す大量掛け流しです。気に入っていまい宿到着から出発までの間、合計6回ほど入浴してしまいました。
夕食は18時過ぎ、朝食は8時との事。食事は2階の広間で他の宿泊客と一緒にいただきます。夕朝の各食事の準備ができるとご主人が部屋まで声を掛けに来てくれます。料理は自家生産の野菜を中心としたものがメインです。とても美味しく頂くことができました。
温泉や食事に満足したのはもちろん、なによりご主人の人柄、女将さんのテキパキとした仕事振りが印象的なお宿。リピーター客が殆どだとおっしゃってましたが、なるほど頷けます。静かな環境の中の宿で、鹿や野鳥、アナグマまで出会いがありました。そしてアオガエルや家グモなども普通に居るので、訪問する季節によって苦手な方はダメかも。源泉の持ち帰りも可能で、ご主人おススメというので2L/minペットボトル一本を専用汲み場にて頂戴しました。我が家の再訪するべく宿の一つに加わりました。
(三昧・2013年8月宿泊の感想)
周囲に田畑広がるのどかな地、大塩温泉に唯一残る一軒宿です。感じのいい年配のご夫婦が営む小さな民宿で、立ち寄りは受け付けていないので、今回宿泊してみる事にしました。国道254号線から細い川沿いに小道を進んだ行き止まりに位置する旭館ですが、お宿へ至るまでの道沿いには幾つかの廃業宿が続き、大塩温泉も以前は霊泉寺温泉ほどの温泉街だった事が伺えます。お宿の周囲は山の中というよりは、のんびりとした田舎という方がしっくりくる場所で、車も滅多に来ることはなく、聞こえてくるのは蝉と鳩の鳴き声だけでした。
旭館はどことなく湯治風情の漂う外観ですが、館内は壁紙など綺麗にリフォームされていました。通された部屋は二階の階段すぐ横です。一階と二階に客室があり、一階はご高齢のお客さんが二組、そして二階は我が家のみの宿泊です。トイレは共同のものが各階にあるようで、二階は部屋のすぐ近くに綺麗な洋式のものがあり、まるで部屋付きのような感覚で便利でした。部屋にはポット、お茶セット、お茶請けに「みすず飴」が置かれています。お布団はふかふかで気持ちよく利用できました。到着後に窓の外を眺めてのんびりしていると、野良仕事の格好をしたご主人が、畑で収穫した野菜を持って来るのが見えました。「あ、あれが晩御飯のおかずなのかな?」と思うと夕飯が待ち遠しくワクワクします。夜は鹿の声がすぐ近くで聞こえ、朝は目の前の道を今では見ることが珍しくなったアナグマが歩いていました。
食事は朝夕共に大部屋で皆でいただきます。ご主人が育てた自家栽培の野菜が中心の素朴でヘルシーなもので、塩分控えめで見習うべき部分の多い内容となています。野菜はどれも美味しく「ご主人が苗から大事に育てたんだろうな・・」と、ひとつひとつ感謝しながらいただく事ができました。
お楽しみの温泉は、ひとつの風呂を部屋ごとに貸切利用する仕組みになっています。訪問時は宿泊客が少なかったので、ほとんど好きな時に利用できました。この風呂がまた良いんです。素朴な共同浴場を思わせる飾り気のない浴室で、窓際に7人サイズの長方形浴槽がひとつあり、ぬるめの非加熱源泉がドバドバと掛け流されています。その浴槽にくっつくようにして加熱源泉用の小浴槽があるのですが、夏場の訪問では使用する人がいないのか、湯は張られていませんでした。肝心の湯は、一点の曇りもない綺麗な無色透明で、ごくごく僅かな石膏臭・石膏味を感じます。溢れ出し豊富な絶妙なぬる湯は浸かっていると眠くなる優しい心地湯でした。浴後はサッパリ感があり汗の引きも良く、蒸し暑い夏に最適でした。
今回初めて宿泊した大塩温泉旭館ですが、のんびりとした環境と絶妙ぬる湯、そして優しく素敵なご夫婦が印象的で、また是非再訪したい、そんなお宿でした。
(まぐぞー・2013年8月宿泊)
▼右側の白い建物が大塩温泉旭館です
▼外観
▼玄関
▼ひとやすみベンチ
▼宿泊した部屋
▼お茶セット
▼部屋からの眺め
▼朝アナグマが歩いていました
▼体に優しい夕食
▼朝食もおいしい
▼浴室は部屋ごとに貸切利用です
▼浴室
▼眠くなるようなぬる湯がたのしめます
▼湯口
▼浴槽から
▼溢れ出し
▼こちらは未使用
▼遊びに来てました
▼なぜか鹿教湯
▼館内の炊事場
▼レンジもあります
▼源泉をいただきました
▼近隣の林にいたカモシカ
大塩温泉 湯元 旭館 データ
長野県上田市西内大塩
0268-45-3355
宿泊しました:2013年8月一泊二食7000円+入湯税利用
立ち寄り不可
訪問:2013年8月(泊)
大塩温泉 湯元 旭館 温泉分析
大塩温泉 単純温泉 34.1℃ pH=8.1 溶存物質計=603.1mg K=1.7mg Mg=1.3 Ca=93.7(54.89mv%) Sr=0.6 F=1.1 Cl=56.5(18.91) Br=0.2 NO3=0.2 SO4=300.0(74.35) HCO3=30.5 H2SiO3=29.7 HBO2=2.8 CO2=5.9 (H17.2.21)※温泉利用状況=加温あり(熱湯槽のみ)