古寺鉱泉 朝陽館(閉館)

 

古寺鉱泉 朝陽館は閉館しました

古寺鉱泉 朝陽館 2005年9月

朝日連峰の登山道入口にある山小屋の「朝陽館」です。大江町の山奥に位置していて、いかにも隠れた温泉という雰囲気です。お宿駐車場までのアプローチは舗装路なので車でなんなく到着可能。以前はダート道だったらしいですが今では整備されています。お宿までは駐車場から5分ほど歩いたところにあります。

立ち寄りを申し出ると、ちょうど先客が湯浴み中だと言う。茶の間?にて座って待たせていただく。しばらくすると立ち寄り客がどんどんいらして賑わってきた。浴室は一つしかないので家族・グループで貸切り制との事である。

お風呂は非加熱の鉱泉そのまんま浴槽と、過熱浴槽の二つがある。コンクリ製の浴槽は何も特別な飾りなどは無く、とてもシンプルなものです。お湯に浸かる以外に何もありません。こういった浴槽は好みです。源泉槽は表面に白っぽい膜のようなものが張り、触るとバリバリとしそうな感じです。しばらくの間、誰も源泉槽には触れていなかったように思えます。加熱槽は40℃の薄鉄サビ濁り。加熱源泉が浴槽内の側面よりちょろちょろと注ぎ込まれています。掛け流しという脱衣所の掲示ですが、少量の投入なので溢れ出しが無しです。ほぼ溜め湯状態といってもいいほどで、やや鮮度不足に思えてしまいます。そうこう観察しているうちに入湯客が多人数も待っているので撤収となる。
(三昧・2005年9月)


3年振りの訪問です。まず驚いた事が、難儀だったダート道が綺麗な舗装道へと変身していた事。ただし、舗装道の終点から少しばかり歩く沢沿いの道は以前のままです。そしてもうひとつ驚いた事は訪問客の多さ!丁度登山シーズンの休日だった所為もありますが、それ以外にも、どう見ても登山客ではない、温泉目当ての人達が続々と訪れています。そんなもんで、一つしかない浴室は順番待ちまで出る始末。やっと順番が回って来ても早く早くとせかされます。古寺鉱泉はどうやら秘湯としてもすっかり有名になってしまった様子。

そして、とても悲しい出来事が‥。先代の御主人がこの間の冬にお亡くなりになられたとの事。朝陽館は完全に代替わりをされました。それを機に冬期は完全閉鎖にする事にしたそうです。唯一ホッとした事は猫のチョロちゃんが元気だった事でしょうか。さすがに今は大朝日小屋への往復はしていないのかな??浴室は以前のまま。湯も以前のままです。時の流れに寂しさを感じつつ、古寺鉱泉を後にしました。
(まぐぞー・2005年9月)

▼古寺鉱泉へは02年訪問時はダートでしたが‥このような立派な道に

▼古寺鉱泉朝陽館 外観

▼別の角度から

▼古寺鉱泉朝陽館浴室(手前が加熱・奥が非加熱)

▼浸かった様子

▼非加熱浴槽

▼加熱浴槽

▼お宿の裏にある源泉


 

古寺鉱泉 朝陽館 2002年7月宿泊

古寺鉱泉へはダート道を3km進み、山の中にポッカリ作られた駐車場に車を停め、そこから山道を徒歩数分で到着です。訪れた日は運悪く台風の真只中。4WDではない車で荒れたダート道を通れるのか?と及腰になりつつ車をノロノロ歩かせ、なんとか駐車場に到着。そして雨のそぼ降る中、山道をトボトボと歩き御宿の正面に辿り着いたのです。その時、私とはち合わせるようにして丁度大朝日岳の方からも山を下ってくるオジサンがひとり。この方は山頂近くの「大朝日小屋」の管理人さんでした。(天候が悪いから山を下りて来た)

到着すると早速温泉に入るようにすすめられた。温泉は鉱泉を薪で加熱したもので、鄙びた風呂場には長方形浴槽がひとつ。二つに仕切られたもので、一方には程よく過熱された湯、もう一方には冷たい源泉が流し込まれています。入浴は加熱浴槽で行い、湯が熱い場合は隣の非加熱源泉を洗面器ですくい入れ温度調節する仕組み。加熱湯は薄黄土濁りのスルスルスベスベ。非加熱の方は無色透明、表面に白い湯膜がビッシリ。この湯は入浴中は勿論、浴後もお肌がツルツルになるという嬉しいものでした。浴室は1つしかないので、他にお客さんがいる時はグループ別、もしくは男女交代制になる様子。

古寺鉱泉の感涙なところは食事の劇的な美味しさにもあります。御主人が採ってくる山菜は新鮮そのもので、大きなお椀のお味噌汁には大量の姫竹。そして蒸し竈で炊く御飯はもう、めちゃめちゃ美味しい!私は普段お茶碗1杯位しか食べないんですが、ここでは3杯も食べてしまった。更に姫竹山盛りのお味噌汁のおかわりや漬け物までいただいて、横の卓袱台で既に出来上がっている御宿の御主人や大朝日小屋の管理人さんと一緒にずっと御飯を食べ続けてしまいました。その後、酔いつぶれた大朝日小屋の管理人さんは家族の迎えの車で連れて帰られました。

さて、外は相変わらずの強い雨。本来なら螢飛び交う御宿前の清流も轟音響かせて流れています。明日の帰りのダート道を心配すると「滅多な事が起きない限り通れるから大丈夫だぁ、滅多な事が起きたらヘリが迎えに来っから大丈夫だぁ、ガハハハッ」と笑い飛ばされてしまった。

御宿は自家発電で夜10時近くになると電気が消されランプになります。ゆらゆらと揺れるランプの灯の下で過ごす山間の御宿は、そりぁもう風情たっぷりですよ。トイレはボットン。部屋は外からの虫も結構多いです。こういうのがダメな人には不向きかもしれませんが。浴衣、歯ブラシセット、タオルは無いので持参の事。ここは温泉宿というよりは、登山者の為の山小屋なのです。地名の由来は「昔この地に古寺があったから」だそーな。こんな山奥の古寺なんて、妖怪野寺坊でも住んでそうで想像するだけでワクワクしてしまった。

さて、翌朝風呂場へ行くと、加熱の方にも湯膜がビッシリ。御宿のお母さんによると、お風呂の利用者が多いと体にくっついて無くなるんだけれど、今日みたいに利用者が少ないと、こうして膜みたくたまってしまうのだそう。1日でも放っておくと白い膜がたまり過ぎてしまうので、湯は全部毎日入れ替えをしなくちゃならないそうです。

古寺鉱泉は大変古い建物なので、私はてっきり冬場は閉鎖しているのかと思いましたが、建物を守るため御宿の御夫婦は一年中ここで暮らしているのだそう。凄いなぁー。凄いと言えば 古寺鉱泉の猫「チョロ」ちゃん。なんとこのチョロちゃん、古寺鉱泉から片道徒歩4~5時間もある山頂付近の「大朝日小屋」を年中行ったり来たりしているらしい。いくつも分岐があるにもかかわず、迷う事なく往復するらしいです。うーん、凄いっ!登山の途中でチョロちゃんに出くわす事もあるかもしれませんね。
(まぐぞー・2002年7月宿泊)

 

古寺鉱泉 朝陽館は閉館しました

古寺鉱泉 朝陽館 簡易データ

2019年10月をもって閉館
山形県西村山郡大江町大字貫見字古寺930-2
宿泊しました:2002年7月一泊二食7000円利用
立寄り時間?
500円
訪問:2002年7月(泊)・2005年9月

古寺鉱泉 朝陽館 温泉分析概要

古寺源泉 ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉 12.7℃ pH=6.5 溶存物質計=5605mg Li=2.4mg Na=992.9(48.79mv%) K=28.8 Mg=160.3(14.90) Ca=616.0(34.73) Al=0.2 Mn=1.4 Fe2=6.3 F=0.1 Cl=2142(68.90) Br=2.5 SO4=437.9 HCO3=1105(20.65) CO3=0.3 ※加温あり