タジキスタンの温泉|ビビファティマ温泉(Bibi Fatima Hot Springs)

記念すべきタジキスタンの第1湯目はパミール高原にあるビビファティマ温泉です。現地では地域の名称(?)なのかYamchun温泉と言う人もいました。パミール高原にはタジキスタンとアフガニスタンの国境パンジ川沿いを走る山岳ルート(この一帯をワハーン回廊と呼ぶことも)があり、そのメインルートから山の斜面に造られた九十九折の道を約7.1kmほど登り進んでいきます。

メインルートから標高差で400-500mも登るので、徒歩だとちょっとした登山になるうえに距離もあるので車での訪問が現実的でしょう。温泉に向かう道の両側は乾いたガレ地を切り開いた農地になっていて、麦の収穫時期でみんな忙しそうでした。さらに上に進み昔の古いゾロアスター教の要塞を過ぎるとビビファティマ温泉です。

ビビファティマ温泉に到着すると係りのお姉さんが案内してくれます。といっても男湯はこっち、女湯はこっちだけですが。支払いは入浴終了後で、同時に帳面への記帳もする流れです。

湯小屋は山の斜面に沿うように位置していて、すぐ横には川があり女湯側から見えるらしいちょっとした滝もありました。浴室は定期的に男女入れ替え制で、訪問時は川の上流側(滝側)が女性、下流側が男性でした。

湯小屋は靴のまま脱衣所で行き服を脱ぎます。長椅子と壁掛けフックがあるので服などを掛けて置くことができます。貴重品は浴室内へ持っていくか、浴室との境のガラス窓越しに置いていくか難しいところ。

浴槽は洞窟のようなゴツゴツした岩盤沿いに内湯が一つあるのみ。7-8人サイズのモルタル浴槽で縁には腰掛ゾーンが造られています。お湯は幾つもの箇所から浴槽へ注がれていて、まず一つ目は塩ビ管より約42℃の湯が約60L/min、打たせ湯状態で約32-33℃のぬるま湯が約30L/minほど、更には岩盤エリアから多い少ない合わせて数か所から41-42℃ほどの湯が自然湧出して湯舟へと流れ込んでいます。

浴槽では約41℃ほど、無色透明、まったりとした感じの湯で食塩泉のような印象を受けましたがどうでしょうか。オーバーフローは湯面上に突き出た塩ビ管より排湯して掛け流されていました。タジキスタンでは日本の温泉と同じ裸での入浴スタイルに感動しました。
(三昧・2019年9月)


タジキスタンとアフガニスタンの国境地帯に連なる険しい山岳地帯「ワハーン回廊」すぐ横にある、自然豊かな温泉施設です。

タジキスタンとアフガニスタンの国境パンジ川に沿って走るメイン道路からクネクネと山道に入り、どんどん奥へ奥へと上った先にビビファティマ温泉はありました。周囲は荒涼と乾いた山岳の景色で、このビビファティマ温泉のすぐ横には激しく流れる渓流があり、なんだか凄い所にある施設だなぁと思いました。

アクセスはかなり不便ですが、地元の方々は長い道のりを、お爺ちゃんも小さい子を連れたママさんも、徒歩でこの温泉に浸かりに来る人が多かったです。地域にとっては湯治場のような存在なのかもしれません。それでもやっぱりご高齢の方はしんどそうで、集落とビビファティマ温泉を往復するマイクロバスみたいなのを運行すれば便利なのになぁ。

施設の入口で温泉に入りたいと告げると、タジキスタンのヤンキー風姉ちゃんが「風呂か?アタイに付いて来な」といった感じで浴舎へと案内してくれました。「入浴料は?」と聞くと「後でいいよ」とのこと。

案内された浴舎を見ると先ほどのV字に流れる渓流の真上に浴舎が造られています。壁などで見えにくいのですが、実は施設のすぐ裏には低温轟く滝があり、その流れ落ちた水がV字に切れ込んだ渓流へと激しく音を立てて流れています。渓流の幅こそ狭いですが落ちたらヤバそうです。

浴室は二つの浴室を男女入れ替え制にしていて、訪問時の女性用は手前でした。浴舎の扉を開くと先ずは脱衣所があるんですが、なぜかタジキスタン風に耳を短くカットされた大きい犬がいて、鼻をクンクン鳴らして甘えてきます。どうやら飼い主さんが温泉に入っているのを待っているようです。脱衣所で服を脱いで階段下の浴室へと向かいます。ちなみに貴重品はビニール袋に入れて浴室へ持ち込みました。

浴室に入ってビックリ、自然の岩盤が覆いかぶさるように迫りモウモウと湯気のこもる空間は、一見すると洞窟風呂のような様相です。そしてその迫る岩肌のあちこちから様々な湯量をもった源泉が打たせ湯のように豪快に浴槽めがけて飛び出していました。そして激しく聞こえる渓流の音から察すると、川面はもうすぐ真下のようです。そう、ここは渓流沿いの岩肌から湧き出る源泉口をそのまんま浴槽にしてしまった贅沢な浴室だったんです。

岩肌の隙間にかろうじて造られた感のある横長の浴槽は6~7人サイズあり、先客の若いお嬢さんとそのお母さんが流れ落ちる源泉を打たせ湯のようにしたり、飲泉したりして温泉を楽しんでいました。浴槽には体を洗うスペースはなく掛け湯や洗髪などはできません。本当に湯に浸かるだけといった構造です。

無色透明の湯は投入箇所により湯温が違いますが、源泉はややぬるめ~やや熱めといったところでしょうか。それらの湯が混ざり合う浴槽では丁度いい適温となり、湯面からは爽やかな温泉臭が香ります。なにより投入量が多く湯の鮮度が抜群に良かったのが印象的でした。

訪問時はなぜか20代前半くらいのとても綺麗なお嬢さんが多くて意外でした。山の湯治場といえばどうしても高齢者のイメージがあったので。しかもタジキスタンは日本と同じ全裸入浴なんです。これって本当に珍しいことなんですよ。ちょっと熱めの湯に浸かって「ふぅ~っ」と心地よさそうに目を閉じたり、染み出る源泉で眼をパチパチしたり、入浴光景は日本そのまんま。後で知ったんですがこのビビファティマ温泉は安産にご利益があるようです。だから若いお嬢さんが多かったのかー。

浴後にあらためて浴舎を眺めてみると、よくこんな場所に風呂場を造ったなぁと感心してしまいます。この荒涼とした山岳の景色も温泉もいいし、ここに泊まってみるのも良さそうだなぁと思いました。

そしてさきほどの女湯脱衣時にいたワンコですが、湯上りの飼い主さん達と楽しそうに山道を下っていく姿が見えました。
(まぐぞー・2019年9月)

▼ワハーン回廊沿いを走るタジキスタン側の道です

▼川の向こうはすぐアフガニスタン

▼タジキスタンは秋の収穫で大忙し

▼ここから山を上る道に入ります

▼タジキスタンでも温泉マーク

▼どんどん上ります

▼ゾロアスター教当時の古い要塞

▼ビビファティマ温泉に着きました

▼ビビファティマ温泉受付

▼「アタイについてきな」「へぇ、アネゴ」

▼下に湯小屋が見えます(湯小屋の下を川が流れてます)

▼渓流に向かってどんどん下ります

▼手前の小さい建物はイスラム教の礼拝堂

▼湯小屋の下と横を激しく流れる渓流

▼訪問時男性側だった奥の浴室

▼脱衣スペース

▼掲示

▼奥の浴室

▼湯気と薄暗さでうまく撮れません

▼浴槽から

▼岩盤のあちこちから湯が湧きだしています

▼訪問時女性側だった手前の浴室

▼なぜかワンコが

▼手前の浴室(こちらも暗くてよく撮れません)

▼岩盤からお湯が湧きだしています

▼ダバダバと凄い投入量

▼浴後は記帳します

ビビファティマ温泉(Bibi Fatima Hot Springs)

タジキスタン
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Googleマップにリンクしてますが、2019年時点でタジキスタンの温泉情報はMaps.meが圧勝です。
7時~18時
1回入浴10ソムニ
訪問:2019年9月