あいべつ協和温泉

愛別町はキノコの里と呼ばれているらしい。今回、立ち寄ったのは愛別町にある湯元・協和温泉です。夕方の〆の一湯で訪問してみました。外来入浴者でも営業時間内なら食堂利用も可能です。受付後、浴室へ直行しました。途中、温泉分析書の掲示があって詳細の確認ができ、泉質は単純二酸化炭素冷鉱泉との事。

浴室内には右手に洗い場エリアがあり、左手から正面にかけて非温泉の真湯浴槽がありました。温泉利用の浴槽は男女浴室を隔てる壁際にポツンと小さく設けられていました。というのも源泉は冷鉱泉の上に湧出量わずか9L/minのみ。湯量に見合った一人用浴槽で温泉入浴を楽しんでもらおうという宿の方針。温泉はこの一人用湯舟でのみ浸かることができます。

二つの蛇口から片方は冷たい源泉が、もう片方からは高温の真湯が浴槽投入されています。要は源泉そのまんまと加温湯を混合して湯温調整を行いつつ、半循環の湯使いということでしょう。浴室内では薄黄土色濁り、41℃ほどの適温で鉄サビ臭がしました。貴重な湯量の資源を大切に利用している宿でした。
(三昧・2018年9月)


北海道といえば広大な畑が広がる景色を思い浮かべますが、この辺りは田んぼも多く、東北のような眺めが広がっていました。「あいべつ協和温泉」は、のんびりと長閑な田園地帯に建つお宿で、飾り気のない素朴なたたずまいは、どこか懐かしさも漂います。「きのこと湯の里」という言葉も見かけるので、おそらくはキノコが特産品なんでしょうか。

館内には男女別内湯がひとつづつ。風情云々というよりは機能重視のシンプルなタイル浴室です。浴室には壁に沿っていくつかの浴槽が並んでいますが、ほとんどが真湯浴槽です。その中でただひとつ温泉浴槽があります。見るからに赤茶色に染まったひとりサイズの小さな浴槽で、パッと見て誰もがコレだとすぐわかる存在感です。

浴槽には二つの湯口があり、ひとつが非加熱の冷たい源泉、もうひとつが熱々に加熱した真湯のようです。この二つを同時投入し浴槽内を適温にしています。温泉好きとしてはぜひとも冷たい源泉一本の掛け流しで浸かってみたいとこですが、湧出量や温度の関係で仕方のないことかもしれません。とはいえ加湯ながら浴槽湯はなかなかの「楽しめる湯」でした。

浴槽湯は黄土濁りを帯び、湯面からは鉄臭がプンプン香ります。本当はギチギチとした肌触りなんだと思いますが、炭酸効果かスベスベとした印象も受けます。源泉湯口には飲泉コップが置かれていたので一口含んでみると、かなりハッキリとした炭酸感です。浴槽が小さく他にお客さんがいる時は長々と独占はできませんが、ここはなかなか楽しめる温泉でした。
(まぐぞー・2018年9月)

▼長閑な田畑が広がります/外観

 

▼男性浴室・真湯浴槽

▼温泉浴槽

▼湯口/掲示

 

北海道川上郡愛別町協和1区
01658-6-5815
立ち寄り時間要問合せ
500円
訪問:2018年9月
長寿湯・協和湯 混合泉(男子浴室注入口で採取)単純二酸化炭素冷鉱泉 12.6℃ pH=5.6 溶存物質計=0.921g Na=43.6mg K=5.6 NH4=0.2 Mg=61.6(46.13mv%) Ca=74.7(33.94) Mn=0.7 Fe2=3.1 Cl=6.9 HCO3=656.9(98.27) H2SiO3=64.6 HBO2=3.1 CO2=17.3 H2S=0.1 (H20.11.17) ※温泉利用状況=高温の真湯を加水している