アルメニアの温泉|アルザカン温泉(Arzakan Thermal water baths)

アルメニア一湯目はアルザカン温泉に行ってみました。アルザカン温泉へは、エレバンの鉄道駅から253番のマルシュルートカ(ミニバス)1本で行くことが出来ました。

エレバン中央駅隣のマルシュルートカ乗り場に行ってみると、6台ほどあった車両の全てが253番の看板を掲げていました。ちょうど出発しかかった車を止めてドライバーに「アルザカン?」と行き先を告げたら「後ろの車だ」と言ってきます。その後ろのドライバーにも同じく行き先を告げたら「この車だ」との事。同じ253番でも経由地が異なるのでしょうかね。

車に乗り込んで気長に発車時間を待ちます。推測するに毎時0分と30分の30分おきには出ているようです。人数の集まり具合に関係なく時間が来たら出発の様子でした。出発後はゆっくりとお客さんを拾いながら進みます。いつのまにか満員を超える状況でした。

本来ならこのまま目的の温泉のある集落で降りる予定でしたが、運転手さんへの伝え方がまずかったのか少し手前の(おそらくここも温泉に関係する施設?)で降りてしまい、その後は目的地まで現地の男性に車で送っていただきました。スムーズに集落までバスに乗っていれば、エレバンの鉄道駅から所要時間2時間弱位でしょうか。

ハンザカンの集落では温泉に浸かることができる施設はいくつかあるようです。今回お邪魔したのは、先ほどの親切な男性が連れて行ってくれた、どうみても民家にしか見えない温泉です。ご主人に「温泉に入りたい」というと一時間5000AMD(訪問当時で約1150円)との事。

案内された湯小屋は扉の内側から鍵を掛けて貸切で利用することができます。扉向こうにはなんと約5×6mほどの立派な温泉プールがありました。20人以上が入れる浴槽を我家2人だけで貸し切り利用できるのは贅沢です。その他にトイレとシャワー室、ちょっとした食卓もありました。電源もあるので各種電子機器の充電も出来ます。

湯小屋の一部は屋根が無く、外気と触れ合いながら入浴する半露天タイプと言っても良いでしょう。訪れたのは1月の寒い時期で、当日は外気温0℃ほど。そんな中、脱衣して入浴します。体を洗って浴槽に浸かるまでがとても寒いですが、浸かってしまえば体はホカホカです。

温泉プールの深さは場所により異なり、一番深い所で150-155cmはあるでしょうか。プール横の壁から湯口の鉄管が突き出ており、ここから源泉が間欠泉のようにゴボゴボと浴槽へと噴き出しています。この湯口下での打たせ湯が最高に気持ちが良いです。体感で42℃-43℃の温泉が結構な勢いで身体へ当たり、それによる心地よい衝撃と適温での湯浴みが楽しめるのです。

浴槽においては広さと外気に触れるのが重なり、湯温は体感38-39℃ほどに低下して訪れた冬場では少し温く思えてしまいます。なので当日は一時間の制限時間の内、ぎりぎりまで湯に浸かり続けていました。湯口での温泉は炭酸ガスの含有が多いのか、うっかり湯口側を向いて近くで息をしてしまうと(危険なのでやめましょう!)息苦しく感じるほどです。口に含むとハッキリとした重曹甘味に弱苦味も感じました。浴槽湯はキレイな薄緑色をしていて、見た目にも十分に楽しめると思います。プールの壁横にはオーバーフロー用の穴がこじ開けられていてココから湯が排湯されての掛け流し。正真正銘の温泉で、ここまで来た甲斐がありました。
(三昧・2020年1月)


旅行者の間ではハンカヴァン温泉よりは若干知名度は劣るもののエレバンからミニバスで一本、もしくは一回乗り換えで容易に到着できる訪問難易度は低い温泉場です。今回私達が行った温泉施設の他にTakemaさんの行かれた食堂併設の温泉もあり、道端には温泉が垂れ流しになっていたりと、なかなか探索しがいのある温泉場だと思います。

上記で容易にアクセスできると書きましたが、私達はミニバスの運転手さんに「ここが温泉だよ」と教えられ目的地数キロ手前で降りてしまい、残りの行程をその施設にいた親切な男性に車で送っていただきました。ちなみにミニバスの運転手さんもまったく悪意はなくて、おおよそ観光地とは無縁の場所で降りる私達のことが心配でしょうがないみたいで「帰りのバスは最終が○時だからね、必ずここで待つんだよ」と何度も何度も繰り返し教えてくれました。

その施設がいったい何だったのかいまだに謎ですが(Googleマップにもマップスミーにも記載なし)、警察官のような人がいたりと何か公的な施設だったのかなぁ。敷地周囲には炭酸泉のようなぬるい源泉がゴホゴホと自然湧出していて、ミニバスの運転手さんが「温泉施設」といったのも、あながち間違いじゃなかったのかも。

実際のお目当てのアルカザン温泉は小さな集落になっています。今回私たちがお邪魔したのはごく普通のお宅の中庭にある湯小屋でした。件の謎施設からここまで私達を送ってくれた男性が連れてきてくれたのですが、訪問時は門が閉まっていて看板もなく「本当に温泉があるの?」と最初は半信半疑でした。もしかしたら冬のシーズンオフ中だったのかもしれません。

まずはご主人に声を掛け、料金を支払うと湯小屋の鍵を開けてくれました。扉を開けてビックリ、中にはプールかと思えるほどの20人サイズの大きな四角い浴槽がひとつあり、柔らかな緑黄土濁りの湯がふんだんに掛け流されていました。この湯をみた瞬間私達は目を丸くして「おお~っっ」と声を出してしまったんですが、その時のご主人とここまで連れてきてくれた男性のドヤ顔が今でも忘れられません。

湯小屋はおそらく一部屋のみで、贅沢にも貸切利用でした。屋根が一部開放された半露天で、手前に浴槽があり、その奥に脱衣スペースと食事などができる椅子とテーブル、さらに温泉を利用した足洗い場とシャワー、その隣がやはり温泉を利用して流れっぱなしになっているトイレがあります。これだけの広々スペースを貸切利用できるなんて贅沢です。

さっそく湯に浸かってみると、浴槽は深く158cmの私が立って顎の下あたりに湯面が来るくらいでした。また湯尻(排湯口)に向かって徐々に深くなり、一番深い場所ではつま先立ちでようやく呼吸ができるくらいです。湯温は予想通り「ぬるめ」でしたが人肌よりあたたかく長湯に丁度いい具合でした。湯口よりドバドバと投入される源泉そのものはそれほどぬるめではなく、浴槽がもっとコンパクトで完全な内湯であれば、もっと湯温は高いと思います。

肝心の湯は柔らかな色合いの緑黄土濁りで、かなりの炭酸感があり湯口から投入される湯面がシュワシュワと発泡し近づくとむせる程です。冬場は寒くなる地域なのに湯小屋が開放的な造りなのは、このガス対策のためかと思えました。源泉を口に含むと甘く明瞭な重曹味と土類味があり、これはなかなかの良泉です。ぬる湯ということもあり1時間ほぼ湯に浸かりっぱなしで、湯から出た直後は外気でヒンヤリ肌寒いですが、後からジワジワと芯からあたたまり感が来る湯でした。この湯を小さなポリバスで楽しめたら最高だろうなぁと欲が出てしまいました。
(まぐぞー・2020年1月)

▼エレバン駅のマルシュルートカ(ミニバス)乗り場

▼253番のミニバスばっかり

▼アルザカン温泉へ向けて出発

▼のどかな車窓

▼(おまけ)最初に立ち寄った「謎施設」の炭酸シュワシュワ自然湧出泉
※どういう施設か謎過ぎるので建物などの画像は控えます

▼温泉施設のある集落(→Googleマップこの位置の様子)

▼道端に源泉垂れ流し(お子様プール持ち込んじゃダメですよ)

▼お邪魔した湯小屋

▼どーんと大きな浴槽を貸し切り利用です

▼別の角度から

▼さらに別の角度から

▼浸かった様子(最大深度155cmほど)

▼湯口

▼湯口を動画でドウゾ(音が出ます)

▼排湯穴

▼浴槽から

▼イスとテーブルがあります

▼湯小屋のすぐ横が源泉井のようです(壁に突き刺さった鉄管が湯口だと思います)

アルザカン温泉からエレバンへ

アルザカン温泉からの帰路はCharentsavan Bus Stationで乗り換えエレバンに戻りました。

▼到着したバスはエレバンと逆を向いてますがこの先でUターンしてきました

▼エレバン行のバスが出発するバスステーション(Charentsavan Bus Station)
Googleマップでみる

▼275番のバスで戻りました

エレバンに入ってから我家はノーザンバスステーション(→Googleマップでみる)で下車しましたが、バスは中心部まで行くようです。もしかしたら例によって同じ番号でもルートが違うかもしれないので、乗車前にドライバーさんに聞いてください。

 

アルザカン温泉もう一軒(食堂温泉)ご紹介

入浴後に「せっかくここまで来たから、もう一軒はしご湯しよう」とTakemaさんも行かれた食堂温泉へも行ってみました。最初の温泉施設からは徒歩で移動できる距離です。食堂温泉は道路沿いにあり大きな看板も掲げているので容易に見つけられます。

ただメジャーなぶんこちらの温泉は大人気で、訪問時は満室でした。さらに順番待ちの車が2~3台待機してました。これはもう、いつ入浴できるかわからないので、温泉は諦めて食事だけして帰りました。温泉のみの利用も可能とのことで、また機会があれば再訪したいと思います。

食堂温泉をGoogleマップでみる

▼温泉食堂

▼温泉棟(家族湯仕様)

▼食堂

▼注文した食事

アルザカン温泉(Arzakan Thermal water baths)

アルメニア・アルザカン
アルザカン温泉に近い集落をGoogleマップでみる
※訪問した温泉施設ではなく集落の表通りにピンを立てました。
訪問した温泉施設がどのような位置づけなのか(個人の湯小屋なのかオープンに営業している温泉施設なのか)など不明なので場所の詳細は控えますが、集落まで行って地域の人に画像を見せて「この温泉に入りたい」と聞けば、たぶん教えてくれるんじゃないかなぁ??と思います。
1時間貸切5000ドラム
訪問:2020年1月