那須湯本温泉の先、ボルケーノハイウェイ沿いにはいくつかの温泉宿が点在しています。その中の弁天温泉を訪れたのはシーズンオフの11月後半、周囲が雪山になる直前の枯れ山状態、そのせいか観光客も少なく閑散としています。外観の印象は鄙びムード漂う湯宿といった感じ。フロントのご主人に受付、15時までに退館してくださいとの事。
浴室は男女別内湯の他、5種類の混浴露天風呂がある。正直、種類の多さに驚いた。脱衣所は大きなザルが衣類入れ。脱衣所から浴室へは5段ほど階段を下ります。外気温が低めだったので浴室内は湯気がモウモウ状態。浴槽は20人サイズの変形型のもの、浴槽縁などに温泉析出物がたっぷりと付着しています。岩組み湯口からは49.8℃の湯を50L/minほどをドンドコ投入。湯は鮮度の良い薄っすらとした笹濁り、土類臭に新鮮金気臭で生臭く感じてしまう程です。浴槽端で44.7℃。湯に浸かると熱めの湯が体にビリビリと来る感じがあります。鮮度の良い湯が掛け流されておりとても気に入る。
混浴露天風呂へは内湯から扉一枚で移動できます。露天風呂は趣の異なった5種類の浴槽が横一線に並んでいます。メイン浴槽?と印象受ける岩風呂は20人ちょいが浸かれる広さがあります。浴槽中央には日差し避けの和傘のようなものがありますが、手入れ不足で壊れかけている状態です。鉄管湯口より51.5℃の湯を30L/min投入、浴槽湯では39.6℃と温め調整。薄笹濁り、土類臭に金気臭、弱キシキシする浴感があります。
次に小岩風呂です。メイン岩風呂のちょうど半分程度のサイズの浴槽です。浴槽中央にはカエルの親子の置き物。バルブ付き鉄管より50.6℃の湯を10L/minほど、浴槽では34.7℃とかなり温め。湯はメイン浴槽のものと似ており、薄っすらと笹濁り、土類臭味に弱キシキシ浴感です。周囲のシーズンをとうに終えた紅葉が妙に寂しい雰囲気を出してます。
続いてお釜風呂です。ちょうど2人サイズの小さな浴槽です。竹筒湯口より48.6℃の湯を5L/min投入。湯は細かな茶褐色鉄粉のような薄濁りで39.7℃、土類臭に金気臭。先の二つの両岩風呂とは違い湯色が異なっています。
隣には味噌樽を利用した味噌樽浴槽があります。これも2人サイズで釜風呂と同様と思える湯のコンディションです。塩ビ湯口より48.5℃の湯を3-4L/min程度の投入。浴槽湯は39.4℃で投入量全てが掛け流し。
最後は夫婦かめの湯です。こちらは一人用の瓶を横並びに二つを配置。二つの浴槽は高低差を設けているので、夫浴槽のオーバーフロー湯が婦浴槽へ流れ込む造りになっています。タヌキの夫婦の湯口から両浴槽に47℃の湯を3L/minほど投入。夫婦浴槽はそれぞれで41.3℃と38.6℃。瓶浴槽に浸かると体積分の湯が一気にオーバフローしてしまうのが実に勿体無く思ってしまう浴槽です。
弁天温泉は男女別内湯、5種類の混浴露天風呂の全てが源泉掛け流しの湯使いと言っても良いでしょう。しかしながら館内設備面で多少のメンテナンスやリニュアルが必要な箇所もあるかと思えます。
(三昧・2010年11月)
那須岳界隈の山の中にポツンポツンと点在する温泉宿のひとつ。以前から気になりつつも入浴料の高さから躊躇していたところを今回は思い切って訪問してみました。ボルケーノハイウェイから枝分かれする細道を行くと、やがて川沿いに面したお宿に到着します。訪問時は枯れ山と化した晩秋だったからか周囲の景色は寂しく、そしてお宿も寂しく見えました。
料金を支払い館内へ。館内も随分と年季の入った草臥れ気味で、昭和の侘しさを引きずった雰囲気は好き嫌いが分かれそう。廊下を進むと先ずは男女別内湯、そして裸移動で混浴露天風呂へと続く構造です。
女性内湯は湿度が高く薄暗い浴室で、東鳴子の湯治宿に似た雰囲気があります。6~7人サイズの丸みを帯びた横長浴槽がひとつあり、薄い笹濁りを帯びた湯が掛け流されていました。注がれる湯は浴槽内で45.7℃と結構な熱め。チリチリとした熱い刺激と硬い浴感があり、湯面で鉄臭プンプン鮮度は良好です。
続く露天風呂は裏庭的なスペースに5種類の風呂が横並びになっています。一番端の「岩風呂・大」は20人サイズの丸い浴槽に仄かなクリーム色+緑がかった湯が満たされています。湯口より熱めの湯が注ぎ込まれているのですが、投入量に対して浴槽サイズが大きく、ややぬるめの体感。湯質から来るキシキシ感と、こなれた「まったり感」が混在。お隣の「岩風呂・小」は10人強サイズで、湯色などは「岩風呂・大」と同じ印象ですが、なにしろぬるく鮮度も劣りこちらは早々に撤収。
次の「釜風呂」と「味噌樽風呂」はそれぞれ2人サイズの浴槽です。どちらの湯も似た印象で、やや薄い寂び色を帯びた弱ぬるめ、キシキシ浴感に鉄土類臭、鉄土類味。
最後にひとりサイズの土管が上下二つ並んだ「かめ風呂」は、上の段がややぬるめで、下の段が適温。無色透明な中に細かな鉄錆湯花が無数に浮遊する湯で、人が浸かるとザバザバ溢れ出す心地よいもの。
混浴露天風呂は工夫を凝らした浴槽が並び、それぞれがほぼ独立したスペースなので、もし他にお客さんがいても比較的ストレスなく入られると思います。ちなみに訪問時は終始貸切状態でしたが・・。湯だけ見ると、内湯が一番良かったかな。
(まぐぞー・2010年11月)
▼お宿近くの弁天橋
▼弁天温泉旅館 外観
▼いらっしゃいませ
▼パチンコ台と
▼スロット台
▼男性内湯脱衣所
▼男性内湯(浸かった様子)
▼女性内湯
▼混浴露天風呂エリア
▼メイン浴槽は大小並んでいます
▼メイン大浴槽(浸かった様子)
▼メイン大浴槽 湯口
▼メイン小浴槽(浸かった様子)
▼釜風呂
▼釜風呂浴槽
▼樽風呂
▼樽風呂浴槽
▼夫婦かめの湯
▼夫婦かめの湯浴槽
弁天温泉旅館 データ
栃木県那須郡那須町
?~15時
1000円
訪問:2010年11月
弁天温泉旅館 温泉分析
弁天温泉 単純温泉 48.0℃ pH=6.4 210L/min(自然湧出) 溶存物質計=770mg Na=60.1mg (32.28mv%) K=17.5 Ca=65.6(40.42) Mg=20.5 (20.86) Mn=1.0 Fe2=1.0 F=0.2 Cl=15.9 HS=0.1 SO4=218.4(56.90) HCO3=181.9(37.31) HAsO2=0.1 H2SiO3=188.1 CO2=141.5 H2S=0.2 (H7.7.13) ※温泉利用状況掲示無し