越後の里親鸞聖人 西方の湯

日本海沿いの国道脇に巨大な像が突如として現れる。傍らには宗教法人が経営している「西方の湯」がある。広い敷地内の駐車場に車は少なく、訪問時は普段より空いていたのかも知れない。大きな建物内には入浴施設をはじめ休憩室、食事所に陶器の展示販売室が配置されてる。

浴槽は20人サイズの熱湯浴槽、4人サイズの適温浴槽がある。大きい熱湯浴槽は44℃、見るも黒い湯が満たされている。湯口では66℃の源泉を浴槽へ投入している。御主人の話だと源泉は90℃程はあるとの事だ。浴槽湯は透明度25cmほどの墨湯のようであり、湯中には黒い湯華が漂い、肌を摩るとつるつる浴感がある。なんとも表現しがたい鼻の奥にツーンと来る刺激臭と甘ったるい香り、非常に濃厚な浴感がある実力派の温泉である。体に付着した臭いを嗅いでみるもとても良い香りとは言えない。これは津軽湯ノ沢温泉に類似する残り香を思わせます。強い塩分濃度で浴後は強烈にホテホテ感が続きます。

せっかくなので湯元を見学させていただきました。施設裏手にはこれが温泉の湧出地とは思えない規模の緑フェンスに囲われた敷地があり、そこが湯元という事です。湯煙がモウモウと上がっており高温源泉を想像させます。湯元から数メートルほどの所に地下分湯槽が設けてあり、そこで「西方の湯」と「某J社」へ送湯されているようです。西方の湯では少ししか利用しておらず、源泉のほとんどをJ社に送っているそうです。J社は源泉からヨードを取り出してどうこうしているとの説明でした。ご主人に説明・案内、源泉までペットボトルに頂き感謝です。丁寧で熱心な説明から御自慢の温泉というのが分かりました。
(三昧・2006年10月)


 

かねがね噂は聞きつつも、「黒くて臭い湯」という温泉仲間からの話で訪問を躊躇っていた所。今回、思い切って行ってみました。日本海に沿って寂しげな海岸線と大きな工場が続くどこか殺伐とした景色、そんな中に突如大きな像がドーン!この像こそ西方の湯の目印なのであります。西方の湯の館内は思ったより広々で、舞台付きホール、休憩室、陶芸教室などがあり、御主人の趣味らしき置物があちこちに点在しています。肝心の浴室は廊下を進んだ先、男女別に内湯と露天風呂がありました。

脱衣所を抜けると先ずは内湯ですが、広さのある浴室に三つに仕切られた浴槽が造られています。メイン浴槽は10人サイズ、造花を飾り付けた湯口より噂に聞いた真っ黒な湯が流し込まれています。浴槽に注がれる湯を思い切って口に含むと、とても塩辛く舌にヨード風味が残ります。この湯というのが、まるで墨を溶かしたような色で、湯色同様に黒い湯花も浮遊。そして湯面には、なんとも不気味チックな大きなアブクがポワポワと浮かんでいます。

西方の湯といえば、やはり「ニオイ」が名物のようですが、浴室に入った瞬間はヨード臭がプンプン、そして湯に浸かると人体から発せられる汚臭のような嫌な臭いが目立ちます。想像通りの強い臭いです。適温の湯はツルツル浴感があり、肌触りだけは心地よいのですが、なにしろこの臭いと色と無数のアブクがどうも苦手で・・。

さらに隣にはメイン浴槽から流れ込みの4~5人サイズ小浴槽があったのですが、こちらは溜め湯的な「ぬる湯」な上に、湯色は更に黒く、表面に漂うアブクも無数に増殖。まるで「毒の沼」のようでありました。この隣にも「水」と表示された小浴槽がありましたが、こちらは空っぽ。この他に露天風呂もありましたが、何故か訪問時は閉鎖中。ちなみに私の入浴中は誰一人お客さんがなく、まったくの貸切状態でした。浴後直後はベタ感がありましたが、少し経つとサラサラ感が残る湯です。

浴後は御主人と一緒に源泉地見学。源泉は元々90℃ほどあり、湯元で湯量を絞り浴槽温度を調整しているとの事。そしてペットボトルに熱々の源泉をお土産に頂戴しました。なんでも「うがい」に使うと良いようです。御主人によると以前は茶色い源泉と黒い源泉の二本を交互に使用していたとの事ですが、濃くて臭い黒湯の方が評判が上がり「今度からは黒い湯だけで行く」と仰っていました。西方の湯を出た後しばらく、皮膚は勿論、車内までもが西方臭ムンムンでした。世の中にはまったく凄いお湯があったもんです。
(まぐぞー・2006年10月)

※訪問時に使用されていた強烈に臭い黒湯はその後使用されなくなったようです。Wikipediaによると配管の破損とか(T_T)

▼西方の湯 外観

▼敷地内には巨大な像

▼男性浴室

▼メイン浴槽湯口

▼女性浴室

▼メイン浴槽

▼メイン浴槽湯口

▼真っ黒な湯面を漂うアブク

▼小浴槽

▼未利用の露天風呂

▼使わないのが勿体ない

▼ご主人と一緒に湯元見学

▼分湯槽

▼高温の源泉が行き来しています

▼激熱源泉を頂戴しました

▼ヨード味と塩分の強いお湯です

越後の里親鸞聖人 西方の湯 データ

新潟県胎内市中村浜2-29
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0254-45-2550
10時~20時
火曜日休み
500円
訪問:2006年10月

越後の里親鸞聖人 西方の湯 温泉分析

N10-1・N10-2・N10-3・N12-1・N12-2(5源泉の混合) ナトリウム-塩化物強塩泉 泉温=? pH=? 溶存物質計=31830mg Li=4.3mg Na=10960(91.34mv%) K=191.3 NH4=129.2 Mg=78.8 Ca=514.1 Sr=4.0 Ba=0.2 Fe2+Fe3=2.5 F=0.1 Cl=18890(98.00) Br=67.8 I=93.7 S2O3=0.8 SO4=1.7 HCO3=560.5 CO3=0.8 H2SiO3=122.7 HBO2=179.1 CO2=47.1(泉温・pH・日付の掲示は無し)