足寄町にある秘湯会の温泉旅館です。道道88号線を北に向かって移動していると道路脇に案内看板がありました。気になって事前情報なしに行ってみます。表通りから左手の道に入り進んで数キロほど林道ダートのような道を走ります。そしてヌカナン川の橋を渡ったところが行き止まりで宿に到着です。立ち寄りできるかなと半信半疑でしたが、なんとか入浴受付してくださいました。
浴室は男女それぞれに内湯と露天風呂を備えます。それ以外にも「巨岩風呂」という露天風呂があって時間帯により男女入れ替え制と混浴、そして宿泊者専用で貸切にもできるようです。但し、混浴の時間帯には男女とも宿指定の湯浴み着を有料でレンタル着用してからの利用となります。今回の訪問では巨岩風呂は利用せずに、単に男女別の内湯と露天風呂を利用してみました。訪問時点での男湯は山側の浴室で、女湯が川側浴室でした。夜間で男女入れ替えになるそうで、宿泊すると雰囲気の異なる浴室のどちらも利用できるかと思います。
さて、浴室に入ると左手に4人分の洗い場で正面には露天風呂への出入口、右手には二方向のガラス窓があり壁際に二つの浴槽が配置されています。一つはタイル造りで7-8人サイズ、体感湯温は約40-41℃の適温湯。もう一方は同じくタイル造りの3人サイズ、体感湯温は約44-45℃と熱めに調整されていました。両浴槽の間に共通の岩石湯口があって、浴槽湯は投入湯量と熱交換後の湯温の低い源泉を上手に利用して温度調整しているようです。また湯口周辺のみほんのりとタマゴ臭を感じることができます。
お湯はキレイに澄んでいる無色透明、弱くスベっとした浴感があります。浴槽に身体を沈めた分だけしっかりとオーバーフローする掛け流しです。すっかりと内湯のみで満足してしまいましたが、せっかくなので露天風呂にも浸かってみました。内湯浴室から裸でそのまま移動できる構造です。屋根がない造りのオープンな露天岩風呂といった印象を受けました。15人サイズの大きなサイズで浴槽中央部分には巨岩が置かれています。飲泉コップが置かれた切り株型の湯口より約20L/minほどの湯が浴槽へと注がれています。内湯同様にキレイな透明湯、湯面スレスレ部分に塩ビ管の排湯口が設置されていてそこからオーバーフローする仕組みです。
時間が許す限りダラダラと浸かり続けたいですがそうもいってられないので適当な頃合いで宿を後にしました。帰りの道道へ出るまでのダート道では、北海道に来てすっかりとお馴染みになったエゾシカと遭遇。お見送り頂いて次の目的地へと向かいました。
(三昧・2018年8月)
北海道の大自然に囲まれた山の中の一軒宿です。ここに来るまでの道中、雨の降る中「本当にこの先に宿があるのかなぁ?」と不安になるような山道で、「道を間違えた?」と思い始めたころ「芽登温泉」の赤い屋根が見えた時はホッと一安心しました。今回、ほとんど前調べをせず訪問したのですが、日本秘湯を守る会の会員宿でもあるようで、飾り気のない素朴な山の宿といった風情がとてもよかったです。
館内には男女入れ替え制の浴室(それぞれ内湯と露天風呂あり)と、混浴露天風呂の「巨岩の湯」がありました。巨岩の湯は別料金で借りる湯浴み着を必ず着用しなくてはならないので、女性でも安心して利用できます。ただ今回は男女別浴室で満足したため、巨岩の湯は(誰もお客さんがいなかったので)見学のみさせていただきました。
訪問時、女性用は渓流側の浴室となっていました。脱衣所を抜けると先ずは内湯ですが、緑豊かな渓流に沿って大きく窓がとられた明るい浴室に、6~7人サイズと2~3人サイズの長方形浴槽がくっつくように配置されています。手前が小浴槽で、湯口より熱い源泉を投入、浴槽内でも熱めの掛け流しとなっています。奥が大浴槽で、湯口より熱交換で湯温を下げた源泉を投入、浴槽内でぬるめの掛け流しとなっていました。続く露天風呂は中央に大きな岩を配した10人サイズの円形で、熱い源泉と熱交換で湯温を下げたぬるい湯を投入し、浴槽内で適温の掛け流しとなっています。
いずれの浴槽もとても綺麗に澄んだ鮮度良好の無色透明湯が溢れ、湯面からは心地よいごくごくわずかなタマゴ臭が香ります。口に含むとほのかなタマゴ味に加え温泉成分からのクスリ味も感じます。派手な個性はありませんが、宿泊して大自然に囲まれた環境の中、こういう優しい湯をじっくり楽しむのもいいなぁと思える温泉宿でした。
(まぐぞー・2018年8月)
▼館内
▼昔の温泉分析
▼山側内湯脱衣所と洗い場
▼山側浴室内湯
▼湯口
▼山側露天風呂
▼露天風呂
▼湯口と排湯管
▼川側内湯
▼小浴槽
▼小浴槽湯口
▼川側露天風呂と眺め
▼巨岩の湯案内
▼巨岩の湯
芽登温泉 簡易データ
北海道足寄郡足寄町芽登2979番地
0156-26-2119(7時~22時)
10時30分~20時(閉館)
520円
訪問:2018年8月
芽登温泉 温泉分析概要
湯元1号・湯元2号混合泉(男子浴室・注入口での分析)アルカリ性単純温泉 51.4℃ pH=9.1 溶存物質計=0.247g Na=57.0mg(89.21mv%) K=1.9 Mg=1.5 Ca=2.4 Al=0.1 F=1.2 Cl=19.0 OH=0.2 HS=1.1 S2O3=0.2 SO4=31.3(23.72) HCO3=39.7(23.72) CO3=24.0(29.20) H2SiO3=65.9 HBO2=1.1 (H21.3.4) ※温泉利用状況=全ての項目において該当なし