甘湯新湯

個人的な印象としては温泉への降下地点がわかりにくいこと、林業のリボンに惑わされやすいこと、山の中の沢沿いであることなどの点から、歩く距離こそ短いものの、遭難や急な天候悪化による沢の増水などの危険がある場所だと感じました。単独で訪問せず、この場所を把握している人に同行してもらうことを強くおすすめします。

ようやく訪問した甘湯新湯。営林署管轄の林道をしばし歩き進んで行く。途中、林道から離れて沢に下りた場所にある野湯。源泉は沢際の壁面部分より自然湧出しており、目の前で確認することができる。

今回、利用させて貰ったのは先人が造った簡易なワイルド露天浴槽。湧出している源泉を塩ビ管経由で手造り浴槽まで引き湯している。ブルーシートならぬグレーメタリック色シート??を利用して沢の端っこに浴槽を造っているものである。個人名で「●●のゆ」とまで掲示されている凝り様だ。偶然にも入湯に適した温度だったのですんなりと湯に浸かることができた。熱い時は源泉を引き湯している塩ビ管のつなぎ目を切り離し、引き湯湯量を調整する事もできる。

湯は鉄粉を混ぜたような薄オレンジ色濁り。重曹甘味、鉱物系油臭が少々に薬味がある。適温で湯に浸かり、渓流を眺めながらの入浴はとても気持ちがいい。浴槽製作者に感謝しつつ露天風呂を後にした。
(三昧・2011年10月)


塩原の甘湯沢沿いにある野湯です。あまりに有名な野湯で、ルートに関してはネット上に情報があちこち書かれているので、ここでは省略します。

甘湯新湯は林道から沢への降下地点をドンピシャにすれば、比較的短距離で到達できます。しかし、初めての訪問ではその降下地点がわからず、私達は随分下流から沢を進んでしまったので、かなりキツイ行程となってしまいました。帰り際あらためて林道をチェックすると、温泉へ最短で到達できるであろう踏み跡を発見。ただし初訪問では林業用の踏み跡やピンクテープも多数あり、かなり惑わされると思います。

さて、その甘湯新湯ですが、行ってビックリ!沢の横に簡素な石組みの入浴ポイント、そして沢にせり出すようにシルバーシートの立派な浴槽が造られているではありませんか。これは凄い。野湯の域を超えています。私達はシルバーシートの浴槽を使わせていただく事にしました。

浴槽は2人程浸かれるサイズがあり、一部が枕のようになっていて、横になると丁度、沢の流れが見えます。「これを作った人も、こうやって沢を見ているのかな」なんて言いつつ、制作いただいた御方に感謝しながら浸からせていただきました。

肝心の湯は、すぐ横から湧出する源泉を塩ビ管を通して投入、無色透明な中に茶色の湯花がたくさん沈殿しています。湯を掻き混ぜるとアッという間に茶色の濁り湯に変身。重曹の「もったり」とした香りが目立つ湯で、鉱物石油臭も香り、一口含むと重曹の甘味+鉄味がします。野湯とは思えないジャストな適温で、目の前の沢の流れを眺めながら、ノンビリと湯浴みを楽しみました。

沢沿いにあるもう一つ入浴ポイントは、先程とは見た目にも質が違うように感じる無色透明湯が流れ込んでいます。が、しかし、シルバーシートの湯に満足して、まったく観察せず帰ってしまいました。こちらは次回のお楽しみにしたいと思います。
(まぐぞー・2011年10月)

▼なにやら浴槽が造られていました

▼しっかりと源泉が引き込まれていました

▼ちょうどいい湯温です

▼浸からせていただきました

▼浴槽からの眺め

▼湧出ポイントのひとつ

▼あちこちから湯が湧いています(動画)

▼流れ出る温泉(動画)

甘湯新湯 データ

栃木県那須塩原市塩原の山の中にある野湯
訪問:2011年10月