明礬温泉 地蔵泉は閉館中です。
訪問前から「明礬の地蔵泉はいいよー」と聞かされていたので、とても楽しみにしていた。バス通りから少しばかり路地を入った地蔵泉は木造の風情ある共同浴場。入口を前にいよいよ期待も高まります。が、浴室の扉を開けようとした時、中から何やらギャンギャンと女性の喚き声が。及び腰になりつつ扉を開けると、先客はふたり。そのうちのひとりが烈火のごとく怒っている。「うぇーっ、マズイ時に来ちゃったなぁ」と思いつつ、モソモソと脱衣をし、引きつり笑顔で挨拶し、目立たないように角の方で掛け湯をした。
湯に浸かると聞きたくないのに女性の喚き声が耳に響く。どうやら喚く内容はこうだ。女性は明礬外の別府市民で、もうひとりの女性が明礬の地元民。明礬外の女性は「ここは市営なのに他所者はあまり来て欲しくないと言われた!私は別府市民としてキッチリ税金払っているのに!」怒鳴られている地元の女性はもう顔が半泣き状態。一方的に怒鳴られて、浴槽から出るに出られず困っていた。仕方ないので「本物の他所者」の私が「あのー、ここの温泉道のスタンプってどこにあるんでしようかねぇ?」(←どこにあるかは、本当は知っていたけれど、とっさに出た言葉がコレ)と意味不明な会話で割って入ってみた。「そんなの知るか!」と案の定の返答だったが、怒鳴りはそこで一応鎮火。そのすきに一方的に怒鳴られていた女性がサッと浴室を脱出してしまった。
残されたのは、私と、怒っていた女性のふたりきり。気まずい。実に気まずい。暫くだまって湯に浸かっていると女性が先程と比べ、やや落ち着いた口調で話し始めた。なんでも高い固定資産税やらなにやらの支払いでとにかく大変なんだそう、せめて「市営の共同浴場」だけは地区うんぬん関係なく別府市民であればどこでも気兼ねなく入りたかった、と・・。共同浴場文化の別府にも観光客が知り得ない悲喜こもごもがあるようですね。
肝心の地蔵泉ですが、洗い場は石造り、浴槽は木造という鶴寿泉と同タイプ。薄白濁した熱い湯が気持ち良い。飲むと少しスッパイ湯。なにせ、こんな状況では湯を楽しむ雰囲気でもなく、早々に浴室を後にしました。
さて浴室を出ると先程一足先に脱出した女性がまだいるではありませんか。「さっきのスタンプ、ここにありますよ」そう言って温泉道のスタンプが置かれた台を指差して教えてくれた。それだけの為に寒い中ずっと待っていてくれた。感謝、感謝。
(まぐぞー・2004年3月)
▼仏像が見守ります
▼掲示
明礬温泉 地蔵泉は閉館中です。
明礬温泉 地蔵泉 データ
※湯量・泉温低下の為閉鎖中
大分県別府市明礬6組
7時~20時
賽銭
訪問:2004年3月
単純酸性硫黄温泉(掲示そのままを転記)